『月光のメイド』4
辺りは夕方に戻っていた。何が起こっていたのかジェイドは理解できず、騒いでいた。ポヨが!や?を交互に繰り返しでていた。
ジェイド「待て待て待て待て!!」
フィル「うるさい。黙れ。」
ジェイド「なんでだよ!?なんでトランプでナイフを破壊できるんだよ!?」
フィル「メルトだからよ。」
ジェイド「答えになってない!!」
メルトは、しばらく部屋のかたずけをしていた後、転生した卵3つを縄で縛っていた。
ジェイド「おかしいだろ!?」
フィル「本当にうるさい。本当に黙れ。」
ジェイド「何でいきなり夜になったんだよ!?」
フィル「メルトだからよ。」
ジェイド「答えになってないって!!」
この2人はまだこんな会話をしていた。
メルトは全てを終えたのか、フィルのそばに近寄ってきた。
フィル「メルトご苦労様。食事の続きをやるから、こいつお願い。」
メルト「かしこまりました。」
そう言ってフィルは椅子に座り、食事の続きを始めた。
メルト「さて・・・困りましたね。何を説明すればよいのでしょうか・・・。」
フィル「適当でいいんじゃない?」
とフィルが食事をしながら言った。
ジェイド「まず、なんでいきなり夜になったのか教えてください!」
とジェイドが質問をする。
メルト「分かりました。ですがはっきりというと私にも分かりません。」
ジェイド「え?」
メルト「ジェイドさんは、『幻闘術』をご存知ですか?」
ジェイド「あぁ、昔お爺さんに話をされたことがあります。」
メルト「ジェネリクトによると、幻闘術に近い技らしいですが、私は幻闘術は主に使えません。もしかするとこの夜になる技自身が幻闘術で、能力を底上げする能力かもしれないと思ったのですが、道具を武器にすることなどは普段からできますのでよく分かりません。」
幻闘術とは火、氷、雷、風、光、闇の6つの自然現象を利用した戦闘術。取得するには数々の訓練が必要である。
しかしメルトの場合、夜にするような幻闘術は存在しないし、そもそも普段から道具を武器にすることができるのなら、意味のないものになる。
ジェイド「ってことは、夜になったからって強くなるってのは・・・。」
メルト「普段とあまり変わりませんから、なんなのかはやっぱり不明です。すみません。」
ジェイド「あ、いえ、分からないのならいいです。」
フィル「あら、私の時と態度が全然違うわね。」
ジェイド「メルトさんとフィルなら、メルトさんの方がいい人みたいだしね。」
フィル「呼び捨てするな、馬鹿が。」
ジェイド「(こいつ・・・・・!)」
怒りはやはり心の中にしまっておくことにした。
やはりストレスは体に悪そうだ。
ジェイド「じゃあ、何故トランプでナイフを破壊することが・・・。」
メルト「きゅうりをトランプで真っ二つするのと同じ原理です。もっとも鉄を真っ二つにすることは、なかなかできないことですが・・・。」
物理的に不可能な気がしたが、もうつっこまないことにした。
フィル「で、どうするのあんた。追っては全部捕まえたし。」
確かにここにいる必要性はなくなった。
僕の家族の場所に戻れるようになったということだ。
ジェイド「それなら帰ります。これ以上僕がいても迷惑ですから。」
フィル「素直なことね。メルト、街までおくってあげなさい。」
メルト「かしこまりました。」
そして、別れのときがきたのであった。
屋敷からでて、森をぬけて、僕の家のあるチャオティックルーインにたどり着いた。
そして、警察に犯人三人・・・・・卵三人を受け渡した。
自分は行方不明になっていたことは知っていたので、事情を説明したところなんとか説得に応じてくれた。
その間、メルトはメイド服を着ていたためいろいろと疑われたが、助けてくれた恩人と説明したら疑いは晴れたらしい。
そして、僕の家族・・・父、母、妹に迎えられた。
ジェイド「本当にありがとうございました。」
別れの前に、メルトさんに挨拶することにした。
家族はちょっと怪しい目でメルトを見ていたため、離れたところで待たせるようにした。
メルト「いえ、どういたしまして。」
ジェイド「あの時、あなたが屋敷の中に入れてなかったらどうなっていたことやら・・・。」
メルト「あぁ、その分はお嬢様に感謝してください。」
ジェイドのポヨは?になった。
何故、フィルに感謝しないといけないのかよく分からなかったからだ。
さんざん毒舌をはかれたのに・・・。
そう思っていたら、メルトさんは僕に説明し始めた。
メルト「本当は言ってはいけないのですが・・・やはり言っておきますね。」
僕は考えるのをやめて、メルトさんの話を聞くことにした。
メルト「あなたを屋敷にいれるように頼んだのは・・・・・お嬢様自身なんですよ。」
ジェイド「・・・・・え?」
メルト「つまり、お嬢様があなたを屋敷に入れるように私に頼んで、屋敷にあなたをいれたのです。」
ジェイド「メルトさんがいれたんじゃなくて・・・フィルが僕を屋敷にいれてくれたということですか?」
メルト「そうです。」
一体何故フィルが僕を屋敷にいれたのだろうか・・・・・。
なにかたくらんでいたのか?
そう考えている間にも、メルトさんは話しを続ける。
メルト「お嬢様は・・・本当は良心の持ち主なのですよ。そうでなければ、ヒーローチャオな訳がありません。お嬢様はあなたが困っていたので助けたのです。・・・・・人前ではあんなこといいますけどね。」
メルトさんはそう言うと、森の方に向いてこう言った。
メルト「そんなお嬢様を守るのが私の使命なのです。・・・・・では、またどこかでお会いしましょう。」
メルトさんは森に向かって歩き始めた。屋敷に帰るのだ。
僕はなにか一言言いたくて、叫んだ。
ジェイド「メルトさん!!」
メルトさんはこっちを振り向いた。
ジェイド「いつか、屋敷に遊びに行ってもいいですか?」
メルトさんはこう言った。
メルト「いいですよ。あなたいるとお嬢様が喜びますので。」
そう言って、メルトさんは森に帰っていった。
フィルはあんなこと言っていたけど、実は喜んでいたのか。
よく分からない方々だ・・・。
僕は今日、あの人達に助けられた。
でも、普通な人達じゃなかった。
大きな屋敷に住むメイドとお嬢様。
お嬢様は人前では嫌な感じの人だったが、本当は良心の持ち主だった人で・・・。
メイドは誰よりも強い・・・・・かっこいいメイドだった。
その名は・・・・・月光のメイド。
第一話「月光のメイド」 終わり