29
南を目指して歩くうちに、雨はすっかり上がっていました。
フレイヤ「あ、あれじゃない?」
そう言ってフレイヤが指したのは、南の森の西端。
つまり、南の森の西の入り口。
ミヤビ「南って、こんなところなの?ねぇ」
フレイヤ「・・・聞いてないよ、こんなになってるなんて」
西端も北端とほとんど変わらない様子で、あちこちの自然が破壊されていました。
どれもこれも、彼女達が聞いていた森とは全く違います。
ミヤビ「・・・とにかく、こんなところにリリカちゃんが迷い込んでたら大変だわ。早く捜しに行きましょう」
フレイヤ「そうだね、もしいたら大変だもんね」
二人は辺りを捜し始めました。
ミヤビ「さてと、何だかここら辺はでこぼこしてるから意外なとこにいたりして」
フレイヤ「例えば?」
ミヤビ「こことか」
ミヤビは、高く積み上げられた土の山を指しました。穴が掘られたときに一緒に作られたものです。
フレイヤ「それは…無い気がする」
さすがにこんなところにいれば、土まみれになってしまいます。
それに一人でこんなところに隠れているのもおかしい話です。
ミヤビ「……ま、まぁ、これは冗談だから気にしない気にしない」
あはは、と居心地悪げに笑うミヤビを見て、フレイヤははぁ、と溜息をつきました。
フレイヤ「とりあえず、真面目に捜そう?」
ミヤビ「あ、うん、ごめん」
フレイヤ「別に謝る事は無いと思うけど」
ミヤビ「えっ、あー…分かった、じゃあ捜そっか」
それから十数分後。
ミヤビ「ここにはいないのかなぁ」
フレイヤ「そうかも…」
リリカの姿は全く見当たりませんでした。
なので、二人は南の森の更に奥へと進むことにしました。
てくてく…てくてく……
ミヤビ「ここら辺ってどこも木が倒されてるのね」
フレイヤ「これ、一体誰がやってるの?本当許せない」
二人が奥へと進む道は、何処を見ても無残に倒された木々と、でこぼこになった地面があるのみでした。
フレイヤ「犯人見つけたらちゃんと責任とってもらおう」
ミヤビ「大賛成」