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フレイヤ「うーん…出てきたのはいいけど、どこ探せばいいんだろう…?」
東の森周辺を歩きながら、皆がどこにいるかを考えていました。

てくてく…

てくてく…

フレイヤは、自分が歩いている足音だけではなく、もう一つ足音を聞いた気がしました。
フレイヤ「え、何?誰??」
辺りを探していると、後ろから「わっ!」という声がしました。
フレイヤ「ひゃあっ!!?」
驚いたフレイヤを見て、声の主はとても面白そうです。
フレイヤ「……何すんのよ…ミヤビ!」
ミヤビ「へへーん、驚いたわね?」
フレイヤ「もう!」
くすくすとフレイヤの反応を楽しんでいたミヤビでしたが、フレイヤがこの時間に何故森を歩いていたのだろうか、と疑問を持ちました。
ミヤビ「そういえば、何でここにいるの?」
リリカが失踪したことを知らない者にとっては、当然の反応でした。
えっとね、とフレイヤは話始めました。


ミヤビ「そんなことがあったの?」
これまでの概要を聞き終えたミヤビは、今一つ信じられない様子でした。
あれだけの人数がいたのだから、一人くらいリリカがどこかへ行くところを見ていてもおかしくないはずです。
それが誰も見ていない。皆食事中か直後だったから、仕方ないと言われればそうなのだが。
ミヤビ「うぅーん…イマイチピンと来ないわね…」
フレイヤ「でも、実際に迷子になっちゃったのよ。ミヤビも探してくれない?」
そんなフレイヤの様子を見て、疑っちゃ駄目だな、とミヤビは思いました。
ふわり、風が吹いています。
ミヤビ「よぉっし!このミヤビ様が迷子ちゃんを見つけてあげようじゃないの!」
フレイヤ「何か変……」
ミヤビ「あぁっ!そういうこと言わないの!」
ミヤビは少々怒り気味でしたが、二人は森の中央へと向かっていきました。


アイリス「ねぇアイラさん!これはどう?」
アイラ「あ、それは上質の物ですね、アイリスさん、こっちに入れてくれますか?」
北の森に生えている大きな木の上で、アイリス、アイラ、ウォーターは木の実を取っていました。
アイリスはアイラの持っている籠に木の実を入れる為、場所を移動しました。
アイリス「そういえば、ワタシの事、『さん』付けで呼ばなくてもいいよ、普通に呼び捨てで」
普段から『さん』付けで呼ばれないアイリスにとっては、微妙な違和感を感じるのです。
籠の中に木の実を入れながら、アイリスは言いました。
アイラ「あ、そうですか?じゃあ、私のことも『アイラ』って呼んで下さい♪」
アイリス「うん、分かった!じゃあアイラって呼ぶね。よろしく☆」
アイラ「よろしくお願いします」

楽しそうに話している二人を、一匹のチャオがじっと見つめていました。
ウォーター「うーん…目の保養になるな、これは」
何だか微妙な事を考えながら木の実を摘んでいるチャオ、一匹。
晴れているせいなのか、アイリスとアイラの笑顔が輝いて見えます。
どういうわけか、ウォーターの目には、二人の周りに花が散らされているように映っていました。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第273号
ページ番号
20 / 33
この作品について
タイトル
ガーデンのヒミツ
作者
神崎揚羽(紅黒梓)
初回掲載
週刊チャオ第266号
最終掲載
週刊チャオ第312号
連載期間
約10ヵ月19日