第3話

宿題…多過ぎる…
また、土日が土日でなくなるよ。


「はぁ…」

彼は、ため息をついてケータイを取り出す。

登録してある番号の一番上になっている人に、電話を掛けるべく。

二回目のプルルルで、出た。

「はい」


彼は、ふっと笑う。
「やっぱり二回目で出たね。田中」
「人様を待たせるのは、良くないですからね」
「そうだね。終わったから、迎え来て」
「かしこまりました」






七、八分もすると迎えが来た。

「あっ、田中。コンビニ寄ってくれる?」
「すみません坊ちゃま。今日は、旦那様より、すぐに帰らせるよう言われております」
「えっ、父さんが?」


なんだろ。
この前のテストはまあまあだったし、ピアノも練習してる。


彼には、父親に叱られる理由が思いつかなかった。

いや、父親に叱られるだろうという考えしかなかった。




車の中で、眠っていたのだろう。意識がぼんやりしている。


「坊ちゃま。着きました」
「う、うん……えっ?」
「遅かったな」


彼は、目の前に父親がいたから驚いたのではない。
ましてや、時計の針が、互いに12を指して時間を知らせていたのに驚いたのでもない。



目の前に、どこまでも広がる空の下、見たことのない景色が広がっていたからだ。



ーーー続

このページについて
掲載号
週刊チャオ第329号
ページ番号
4 / 17
この作品について
タイトル
振り返れば、あの日と同じ坂道
作者
チャフカ(エキドゥナファン)
初回掲載
週刊チャオ第328号
最終掲載
2010年5月16日
連載期間
約1年10ヵ月19日