8話 ~混乱~
「後はあの2匹だね…霧の中にいるから何やってるのかさっぱり…。」
「チャロ、お前ガンナーだろ?乱射すれば当たるじゃん。」
チャロはいくつか弾を手にしてハンドガンに補給した。
どうやら全て最後の弾のようだ。
「もう弾数は少ないよ。しかもあんな広範囲じゃ弾が無くなるのも時間の問題だし。」
「迂闊に手が出せないな。しょうがない魔力も少ないのだが…。」
ユーロは瞑想して魔力を手に集中させた。
そして訳の分からない呪文を唱え始めた。
「……降臨ライトノアァ!」
霧の中に雨のように光が叩き込まれた。
眩しくて観衆も見ていられないようだ。
霧も消してしまう程の威力だった。
「やったか?ン?…あれは何だ?」
「あの宝石は何?なんか無言だし…。」
霧の先に見えたのはポヨの部分に宝石をはめている2匹だった。
2匹とも操り人形のように立ち尽くしている。
「…俺はリリアン…貴様らを完全に抹殺する為にいきてきた。」
「…私はアルニカ…貴女達をこの世から消去するために生きてきた。」
「…ゼオンの奴が倒れたせいで作戦が台無しだ。」
以前の過激さは見られず訳の分からない事ばかり言っている。
彼等は手を前に突き出しエネルギーを放出し始めた。
「今日は土産程度にしておこう…貴様らチャオの壊滅のために…。」
「そうだな…レイブラスト!」
会場の一部が爆発した。
しかもスタジアムの一部が奈落の穴のようにぽっかり開いた。
「さらばだ…次は命はない。」
「この世界は我らが王、ガーランド様のためにあるのだ…。」
奈落の穴に入って行くと穴は完全に閉じた。
スタジアム内では混乱と驚きで静まり返っていた。
「…………勝者…チームユーロ……。」
「…チャロ、あいつらの王って俺らの街を襲ったやつじゃないか?」
チャロは黙り下を向いている。
観衆も静まり返って歓声など聞こえもしなかった。
「私もそう思う…奴らの殺気が似ていたもん。」
その時、一匹のチャオが前に出てきた。
この世界のチャオの王、マルクスだった。
付き添いのチャオに向かって何かブツブツ話している。
「えー、今、世界中の色んな所にダークチャオが出現したとこの事です。」
「それは…カオスゲートがやぶられたと言う事か?」
いきなり隣にフェニクが現れる。
カオスゲートとはダークの世界と通じる唯一の穴だった。
しかしそこには封印が施してあり開けなくなっている。
「そういうことです。破壊者はガーラント…闇世界の王だそうです。」
地面が鳴り響いきそこにまた奈落の穴が現れた。
中からダークチャオが何匹か現れた。
観衆は雄叫びを上げながら逃げて行く。
「おいユーロとか言ったな?逃げねぇのか?」
プラムも出てきて斧を構える。
ダークチャオに襲い掛かると一瞬でまっぷたつになった。
「俺らには復讐と言う大事な役目があってな。」
「そうかい…私達と似てるノサ。」
ミヒューも出てきて魔法を放つ。
ダークチャオがいくつかこげ落ちていく。
「ミヒュー、プラム、話してる暇はない、奴等をしずめる事が我らの使命だ。」
「おう、一発ぶっ飛ばしてみるか!キラークラッシュ!」
地面が盛り上がって大きな岩になり奈落の穴をふさいだ。
ミヒューも魔法を唱え封印をかける。
「お片付けっ…グラヴィティラッシュ!」
ごつごつした地面を最初闘ったような状態に戻した。
何もかもが終わるとフェニク達は去ろうとした。
「待てよ!」
ユーロの手がフェニクを引き止める。
フェニクは無視するように歩こうとする。
「お前の知ってる事、全て話してくれよ。」
「………いいだろう。」
続く