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今、目の前に見えるのはなんだろうか。
何か鉄の塊が空を飛んでいる・・・?
昔、鉄の塊が空を飛ぶ時代があったそうだ。
・・・そうか、あれが俗に言う『ヒコーキ』というやつなのか。
ほぅ、タイヤが四つあって、ライトがあって四角形で窓までついてるのか。

「あれがヒコーキか・・・」

「いや、あれは鉄の塊が道を走る『クルマ』というやつだろう」

すかさずエースが言い返してきた。
『クルマ』、歴史上に存在する走る鉄の塊の事だ。
しかし、空を飛んでいるのを見る限りこれは『ヒコーキ』だ。
そこで俺は言い返す。

「いや、空飛んでるし」

「見た目クルマだし」

・・・切り返しが早い・・・!!
っとまぁ、これはここまでにしておいて。
どうしてこうなったのか、それを説明しよう。


俺達は言われたとおりにまたあの建物に向かった。
そこにはムラカミソウイチロウはいなかった。
代わりに白いヒゲを生やしたおじいさんが居た。
昨日はこんな人はいなかった。

「すみません、ムラカミソウイチロウさんは・・・?」

「キミかね?パスが欲しい者は?」

声は震えていない。しっかりと話している。
見た目はまぁ・・・うん。
だけど声を聞くだけではたいして年をとってない様に思える。

「・・・はい」

「・・・何故キミみたいな奴にパスを渡したいのかがわからない」

そういった後、その人は俺にこう続けた。

「キミはパスを貰った後どうなるかわかっとるのか?」

エースの頭にハテナが浮かんだ。
俺の頭の中もハテナが浮かんでいた。
パスを貰った後どうなるかなんて知らない。
ただ、この街に暮らしている人物は裕福な生活を求め、ここに来ていた。
俺も中に入るとただ裕福な人がいっぱいいるのではないか、そう思っていた。

「・・・わかりません」

「・・・まぁいい、ほれ、これがパスだ」

俺達には紙がわたされた。
何も書かれていない、真っ白な紙だ。
これがパス・・・?
タダの紙にしか見えないが。

「そういうことか」

ここに来て初めてエースが口を開いた。

「見た目は普通の紙・・・だからこれをパスにしたのか。普通の紙だから道に落ちていたりしていてもパスだと気付かずに捨ててしまう」

「・・・その紙については何も言えない、そして何も言うな」

そういって白いヒゲのおじさんは立ち去った。
ムラカミソウイチロウもどこにいったのかわからない。
それは気になっている。
昨日までちゃんと居た人がいなくなっていること。
ただ、真実はあそこにある気がする。
GUNの総本部。


・・・とまぁこんな感じでここについて、やることも無く
ただ、周りにあることに驚いているだけだ。
俺達はどこにいけばいいのかもわからない。
何をすればいいのかもわからない。
機械だらけの街。外の世界とは大違いだ。
そんな時を過ごしていたとき、突然後ろから声をかけられた

「お前達だな、新入りというのは」

「は?」

俺とエースは腕を掴まれた。
その力は強く、振り切る事は出来なかった。
俺達はどこかに連れていかれるようだった。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第313号
ページ番号
6 / 6
この作品について
タイトル
freezing world
作者
DX(DXチャオ)
初回掲載
週刊チャオ第306号
最終掲載
週刊チャオ第313号
連載期間
約1ヵ月19日