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 「いままさに、あつい闘いの火蓋がきって落とされようとしています。」
実況が言うと客席から歓声が起こった。
F・チャオのサーキットの客席は、多くのチャオと人間で埋め尽くされていた。
実況や解説は人だったりチャオだったりするが、レース自体はチャオにしか出来ない
ことになっている。もっとも、たいていのチームの後ろには人間がスポンサーとして
ついている。
 「昨日の予選でトップにたったのは・・・前回優勝のチャガットだー!」
スクリーンにチャオが写ると、ふたたび観客はわいた。実況は続けた。
「二番手は、チームメイトのチャオノスケをおさえた期待のルーキー、チャキだ!」
フォーメーションラップの二番目を走るチャキはうれしくなった。
「目前のマシンを抜かせばトップだ。」
チャキは思わずアクセルを踏んでしまうところだった。

 「チッ・・」ほとんどのチャオがその瞬間、舌打したにちがいなかった。
初出場で、しかも第一戦で予選二位というのはめったにない。
「ぜったいに前にはいかせない!」それはトップのチャガットも例外ではなかった。
「ほんもののレースはいつものようにはいかないぜ・・!」チャオノスケもチャキの
すぐ後ろで前を睨んでいた。
 チャガラは最後尾にいた。こちらも新人だが、落ち着いていた。無線でピットと最
終の打合せをしながら、スターティンググリッドにとまり最後につぶやいた。
「勝つのは俺だ。」

 「すべてのマシンがグリッドにつきました。」実況の声が響く。
ドクン・・ドクン・・ だがそれは、ドライバーには届いていない。
ドクン・・ドクン・・ ヘルメットのせいか、極度に緊張しているためであろうか。
ドクン・・ドクン・・ 見守るピットクルーや観客も息を飲んでいる。
ドクン・・ドクン・・ ただ聞こえてくるのはマシンの鼓動かそれとも自分の心臓の
音か。もしかしたら他人の拍動か。視線はシグナルだけを見ている。
プッ・・プッ・・ 「レッドシグナルが今・・・・」
マシンが一斉に走り出した。「グリーンシグナルへと変わりました!!」

                     tobe continude・・

このページについて
掲載号
週刊チャオ第25号
ページ番号
5 / 5
この作品について
タイトル
フォーミュラ・チャオ レジェンド
作者
クライマー(Climber)
初回掲載
2002年7月7日
最終掲載
週刊チャオ第25号
連載期間
約1ヵ月18日