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F・チャオグランプリの人気チームであるチーム・ユニコーンは新しいマシンの
テスト走行をしている。やめてしまったチャクスに代わる新人のチャキのマシンだ。
「じゃ、軽くながしてきます。」
チャキはアクセルをゆっくりと踏み、サーキットへでていった。
チャキの走りは安定していて、新人とは思えない走りであった。
それをフェンスごしに見ている二人のチャオがいた。
「なんだ、普通じゃん。わざわざみる必要なかったんじゃないの、チャエルのおっさん。」
「黙ってみてろ、チャガラ。」
チャガラと呼ばれたチャオはせんじつ泥棒をつかまえた黒チャオだった。そして・・・
おっさんといわれたもう一人は、チーム・ユニコーンの前監督のチャエルであった。
「おっさんの弟が今は監督をしてるんだろ、みつかったらヤバイんじゃないの。」
チャガラはチャエルの方をみて言ったが、チャエルは黙ったままチャキを見ていた。
周回を重ねるごとにチャキはスピードを上げていった。ふいに別のマシンがコースに出てきた。
チャオノスケのマシンである。どうやらチャオノスケはチャキとバトルをするらしい。
「ここからが本番だ。チャガラ、よく見ておけ。」
2台のマシンは激しいバトルを始めた。チャエルは口をひらいた。
「一見、遊んでいる様に見えるかもしれないが、お前なら接触してクラッシュしているところだ。
F・チャオのマシンはチャオのスキルや性格がそのまま現れる。 速いヤツならいくらでもいる。
レーサーには瞬時の判断力も必要なんだ。なにが言いたいかわかるな、チャガラ。」
「わかったよ、おっさん・・いや、監督。俺には経験がないってことだろ。」
「・・・よし、帰るぞ。あすから特訓だ。」
チャエルは振り返ってあるきだした。
チャガラは、オレンジ色にそまったサーキットのうえを走る2台をみつめていた。
その瞳は、チャガラの心をうつすかのように、夕陽をうけて真っ赤にもえていた。