1個目
まぁ、今この状況を把握出来る人が出てくるように時をさかのぼってみようか?
えぇっと・・・・・。
確か、雨の日の所長室だったな。
「Zzz・・・。」
もうお馴染みの寝息で所長室の空気を作り出していた所長がいた。
で、そこにやってきたとある人物からの手紙が来た。
「オモ・・・って、あぁ。あの時の書類くわえたネコの時に会ったオモチャオか。」
ヤイバ君、ちょっと表現がおかしいと思うぞ。
「某市にて別荘がありますのでご招待致します・・・だそうです。」
「へぇー、オモさんの別荘なんかあったんだなぁ?」
確かに退屈していたこの生活にはいい刺激だと思ったんだろう。所長さんはそのまま手紙を渡す。
「・・・オモさんか。」
ちょっと記憶を探ってみる。オモさん・・・っていえば、ウチの事務所の女子軍が捕まえられたんだっけ?それでまぁいざこざがあって・・・。
と、そこまで考えて、後ろを振り返ってみる。
「・・・・・。」
「ははは・・・。」
ちょっと軽く笑ってみた。そういえば、あの事件から大体1ヶ月経ったのだろうか。
ヒカルも帰ってきたし、暇なのだ。でも思い出すと暇じゃない空気が僕だけを包む。邪魔くさい空気が。
・・・それに、何となく気になる事もあった。ミキって人間じゃないのかと。
そもそもミキなんて名前、人間に付けられるような名前じゃないか?・・・まぁ過ぎた今こそどうでもいい話だ。今騒いだ所で何にもならないし。
そんな報告を受けながら、もう夜。僕は自宅にいた。
オモチャオって言えば、どこかで聞いた事がある。編集部に居座る熱血オモチャオについて。どーやらギブミーチョコレートと叫んで1週間、結局無駄に終わったらしい。
来年こそは、と気合を入れなおしてるらしいが、来年にまで知名度が上がっているかどうか。
チョコ、まぁバレンタインだ。・・・・・僕もチョコを貰っていない。
まぁ大して気にしてなどいない。昔から好きになった子もいないし、好きになってくれる子もいなかった。どうでもいいんだ。
もし僕が多数のファンを抱えていたとしよう。その時点で僕は歯を失うだろう。・・・とんでもない妄想だが。
まぁ、本命たった1つ貰ったとすれば、それはそれで嬉しいかもしれない。そっちこそがとてつもなく病気である。好きな子も、好きになってくれる子もいない。
馬鹿馬鹿しい。早く寝よう。
翌朝。起きたら何故かバレンタインデーにさかのぼっていた!!
いや、それだけでは無いのだ。少し家の雰囲気が違う。ヤイバがいない。それに1人暮らしをしていた形跡しかない。
更に驚くべき事が一つ。
・・・いつの間にか、僕は人間になっていた。
はてさて、どうしたものだろうか。コレは夢か?夢にしちゃ随分リアルだ。
夢から覚める方法・・・あ、そういえば目をいじくればいいのだ。コレが夢だと確信した今、目をいじくれば僕は起きる。とっとと起きよう。(※作者は夢に気付くとこの方法で瞬時に起きる事が可能ですw)
・・・決まりだ、コレは現実だ。
しかし何故?何故僕は人間になっているのだろうか。しかもバレンタインデー。誰かがイタズラでもしたのか?と、カレンダーを見ると、更にとんでもない事に気付いた。
西暦が僕の記憶の物と矛盾している。正確に言えば僕の記憶している年より3年程後な事だ。さかのぼっていない、進んでいる!
えっと、僕は確か人間の頃は小学生だったから・・・今は高校生?
どう言う事だ。ここで学園ストーリーでも繰り広げろとでも言うのか。しかし、今の時刻はとっくに9時半をまわっていた!遅刻か、遅刻なのかコレは!
・・・と、そんな事で悩んでるウチに電話がかかってきた。誰だー、先生か?今日は熱で休みますとでも言っておくか?
「はい、もしもし・・・。」
「何やってるの!?何で約束の時間に来てくれないのよ!」
何の事だ!と反論したいが、言っても無駄だろう。それよりこの声の主は・・・。
「あー、ゴメン。誰?光?」
「寝ぼけてないで早く来なさい!学校の部室で待ってるからね!」
と、そのまま電話を切ってしまった。・・・はて、そもそも僕はどの学校に通っているのだろうか。
何か手がかりは無いものかと部屋を捜索してみる。
おお、あったあった、生徒手帳。こう言う物が定番である。えっと・・・何ぃ!?コイツは例の付属高校では無いかっ!
ますます夢じゃないのかと疑う。が、いくら頬を叩こうが目をいじくろうが全く変化が無い。とりあえず、僕の通っている高校からしてこの町は列記としたSSに間違い無い。
まさか住んでる場所まで変わったらもう自殺でも試みたい所だ。いや、それよりとっとと高校に行かないと自殺ドコロでは無い。
・・・待てよ、ヒカルも人間なのだろうか。いや、間違い無いな。本当に僕はどうしたのだろうか。
とりあえず、着替えたり髪を整えたりする。・・・チャオ生活が長いせいか、髪を整えたりなんて久しぶりに感じる。
おっと、とっとと出かけないと。