ページ2

とある日、彼はエントランスを出て、
チャオ島の郊外に出ていた。


ちょうど、人間が通れない場所なので、
そこにはチャオしかいない。
飼い主が来ると、呼び出しがあり、
その時だけ、チャオはチャオガーデンに戻るのだ。



そんな中をジライトは歩いていた。



誰も彼に話しかけることはない。
話しかけようとも彼の目つきが他を近づけない。
彼はいつもの場所へ行く。
『ストラト』と言う名前のギターショップだった。
そこにあるスタジオで、彼はギターを弾いていた。



しかし、その日は違った。



店の主人は彼にこう告げた。



…悪いな、今日はスタジオがいっぱいだからさ、
今日はエレキギターでも外で弾いて、客寄せしてくれ。



ジライトはめんどくせぇと言って断ろうとした。
が、それによりどうやらバイト料をくれるという話をされて、
しょうがないと言うことで、
結局外でギターを弾くことにした。



ジライトは人に欠点しか見せなかった。



今、彼は自分の長所を見せることになるとは思ってもいなかった。



彼がギターを構えても、誰も振り向きはしなかった。
しかし、ギターの音色が聞こえた瞬間、
チャオ達は一斉に彼の方を見た。



…ん?



彼がふと顔を上げると、そこには沢山のチャオ。
しかし、それは店が繁盛しているわけではないらしい。



…なんだよ、ライブしてんじゃねーぞー。



彼はそう言ったが、それに嫌みはなかった。
彼自身、少しこのような状態になったことはうれしかった。
少なくとも、誰もいないよりは。



ジライトはしばらくギターを弾き続けていたが、
そのうち、昼の休憩に入った。
どうやら今日は、店主がおごってくれるらしい。
ジライトはギターを置いて中に入ろうとした。



…ちょっと、そこのキミ。



後ろから誰かがジライトを呼んだ。
ジライトはその姿に見覚えがあった。
サングラス、そして、怪しい雰囲気…、
あぁ、闇の取引所のおっさんか。



なんだよ?めんどくせぇから手短に話してくれ。



すると、おっさんは何も言わずに、
緑色の欠片を一つ、ジライトに投げ渡した。



おい…なんだよこれ…。



おっさんは笑っていった。



おいおい、お前が手短にって言ったんだろ。
…じゃあな。



おい…!待てよ!おい!っていっちまった…。



ジライトは不思議に思ったが、
とりあえず、その欠片を持って、中に入っていった。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第275号
ページ番号
2 / 2
この作品について
タイトル
FIRE BALL ~魂に火を付けろ
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第275号