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とある日、彼はエントランスを出て、
チャオ島の郊外に出ていた。
ちょうど、人間が通れない場所なので、
そこにはチャオしかいない。
飼い主が来ると、呼び出しがあり、
その時だけ、チャオはチャオガーデンに戻るのだ。
そんな中をジライトは歩いていた。
誰も彼に話しかけることはない。
話しかけようとも彼の目つきが他を近づけない。
彼はいつもの場所へ行く。
『ストラト』と言う名前のギターショップだった。
そこにあるスタジオで、彼はギターを弾いていた。
しかし、その日は違った。
店の主人は彼にこう告げた。
…悪いな、今日はスタジオがいっぱいだからさ、
今日はエレキギターでも外で弾いて、客寄せしてくれ。
ジライトはめんどくせぇと言って断ろうとした。
が、それによりどうやらバイト料をくれるという話をされて、
しょうがないと言うことで、
結局外でギターを弾くことにした。
ジライトは人に欠点しか見せなかった。
今、彼は自分の長所を見せることになるとは思ってもいなかった。
彼がギターを構えても、誰も振り向きはしなかった。
しかし、ギターの音色が聞こえた瞬間、
チャオ達は一斉に彼の方を見た。
…ん?
彼がふと顔を上げると、そこには沢山のチャオ。
しかし、それは店が繁盛しているわけではないらしい。
…なんだよ、ライブしてんじゃねーぞー。
彼はそう言ったが、それに嫌みはなかった。
彼自身、少しこのような状態になったことはうれしかった。
少なくとも、誰もいないよりは。
ジライトはしばらくギターを弾き続けていたが、
そのうち、昼の休憩に入った。
どうやら今日は、店主がおごってくれるらしい。
ジライトはギターを置いて中に入ろうとした。
…ちょっと、そこのキミ。
後ろから誰かがジライトを呼んだ。
ジライトはその姿に見覚えがあった。
サングラス、そして、怪しい雰囲気…、
あぁ、闇の取引所のおっさんか。
なんだよ?めんどくせぇから手短に話してくれ。
すると、おっさんは何も言わずに、
緑色の欠片を一つ、ジライトに投げ渡した。
おい…なんだよこれ…。
おっさんは笑っていった。
おいおい、お前が手短にって言ったんだろ。
…じゃあな。
おい…!待てよ!おい!っていっちまった…。
ジライトは不思議に思ったが、
とりあえず、その欠片を持って、中に入っていった。