チャオ同好会Returns（リターンズ）・その４

＜その４＞

で、オタクでなくとも思わず「萌え～」と叫んでしまいそうな副会長さんの部屋。
北川部長や会長さんはともかく、月島先輩や書記さん、目のやり場に困ってるじゃないですか。というか正直俺も微妙に困る。

そんな状況の中、チャオ同好会の命運を賭けたチャオレース勝負が始まった。
ああ、バカバカしい。なのに行方が気になる俺って。


北川部長のチャオはＡＬＬ３２６６のライトカオス。まさに「完璧」の２文字だ。
一方の副会長さんのチャオもスタミナ以外は３０００を越えている。とりあえず北川部長がぶっちぎる展開にはならなさそうだ。

・・・って、ちょっとタンマ。
北川部長はともかく、なんで副会長さんがそんな凄いチャオ持ってんだよ。そこまで行こうと思ったら少なくとも数回は転生が必要だぞ？

という俺の疑問をよそに、コース選択をする北川部長。

【北川】「コースはダイヤモンドコース！応援禁止の一発勝負！いいわね！」
【副会長】「こうなったら仕方がない・・・」

そしてそのまま、運命のレースがスタートした。


やはりスタートダッシュは北川部長だ。２００近いスキルの差は埋められないか。
しかし、びっくり箱に引っかかる。副会長さんのチャオはセーフで、逆転。

【北川】「まぁいいわ。スキル分のハンデだと思えばどうって事ないじゃない。」

ここまで余裕だと恐ろしい。確かに北川部長の理屈は間違っちゃいないが。


予想通り、ある程度できたリードを北川部長のチャオは猛然と追い上げ、ヤシの実落とし終了前後であっさりかわした。

【副会長】「くっ・・・」
【北川】「これでもう勝ちは決まりね！」

確かに、クイズコーナーもこのレベルのチャオが間違えるはずがない。
唯一の逆転ポイントはラストの落とし穴だが、仮に北川部長だけ落ちたとしてもその頃には大差がついているだろう。
やはりスキル２００の差は大きかったか。


・・・しかし。奇跡が起こった。

【北川】「いよいよクイズコーナー・・・！？ど、どういうことよ！？」

なんと、正解の木の実が１つも無いのだ。当然、ハテナマークを連発する北川部長のチャオ。
仕方なくチャオは違う木の実を持って、オモチャオの制裁を受ける。その時代わりに落ちてきたのが、なんと正解の木の実。
そして丁度その時、副会長さんのチャオがクイズコーナーに差し掛かったのだった。当然正解し、まさかの大逆転。

【副会長】「よし、これならいける！」
【北川】「まだよ！まだ勝負はついちゃいないわ！」

逃げる副会長さんのチャオ。追う北川部長のチャオ。
そのまま最終コーナーを曲がり、最後の直線に差し掛かった。
依然副会長さんのチャオがリードしている。ゴールで逆転できるかどうか、微妙だなぁ。

・・・ここで俺は思った。俺、どっちを応援してるんだ？
正直北川部長の暴走に付き合わされるのはもう勘弁だ。だけど、どうも副会長さんのチャオを応援しきれない。
この俺が、チャオ同好会に愛着を持ち始めているだと！？そんなバカな！！

とか考えてるうちに、いよいよ最後のポイント・落とし穴ゾーンへと突入した。

【北川】「落ちろ、落ちろぉ・・・」
呪いでもかけるつもりですか。

・・・事実、かかったが。

【副会長】「しまったぁっ！」
という訳で、副会長さんのチャオが落下。その間に北川部長のチャオがかわす。あー、もうダメだ。

【北川】「もらったわ・・・！？」
次の瞬間、また奇跡が起こった。なんとゴール直前にして、北川部長のチャオが転倒してしまったのだ。

北川部長のチャオが起き上がった時、ちょうど副会長さんのチャオが並ぶ。そして、そのまま横一線で、ゴールに飛び込んだ。
【おぉる】「どっち！？」


・・・・・。


７月初め、梅雨の中休みとなったある晴れた日、チャオ同好会の部室。
いつものように北川部長がチャオを育て、俺達２人がそれを後ろから見ている。

【月島】「でも、あんなことってあるんですね・・・」
【北川】「チャオＢでもほとんど報告例がないから当然よ。あたしも初めて見たわ。」
【俺】「・・・でも、なんであの結果でチャオ同好会が存続したんですか？」
【北川】「そりゃ、これのおかげでしょ？」

と、北川部長が取り出したのは、会長さんのツンデレ写真と、書記さんの素顔写真。まぁ、そりゃそうだが。
ちなみに会長さんのツンデレっぷりを激写した時、北川部長はＩＣレコーダーで録音までしていた。盗撮の上に盗聴かよ。
でもってチャオ同好会が勝ったら放送室を制圧してお昼の学校放送で流す腹積もりだったらしい。あぁ恐ろしい。この結果で良かったんだろうなぁ。


・・・まさか同タイム・同着で表彰台の上に２匹乗るとはねぇ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　続く（嘘）