第4話

ギスから電話がかかってきた。

ギス「ラル!明日!土曜日!クラス全員で遊ぶ約束してんだ!お前も来いよ!」

ラルヴァ「え・・・どこで?」

ギス「ルムナの木の下!わかるか?この村で、一番デカイ木って言われてるんだ!」

ラルヴァ「・・・場所は?」

ギス「ルムナの木は村内ならどこからでも見えるっていう凄い木なんだぜ!窓から四方八方見てみろや!」

机の横にあった窓を開けると、すぐわかった。だいぶ離れているが、真正面に、雲に隠れるほどの大きな木があった。

ギス「見えたろ?明日朝10時にそこに集合!じゃあな!」

電話を切った。
遊びの約束なんて、初めてだった。休みが明けなくても友達の顔が見れるなんて。夢のようだ。


土曜日の10時。すでにルムナの木の下には、たくさんのチャオが集まってた。

ギス「よし全員集まったなー!あ!そうだ!ラルも笑え!」

ラルヴァ「へ?」

ギス「俺たち今笑い選手権してんだ!皆笑うの上手いんだぜ!ほら!皆笑え!」

皆口を横にのばして笑顔。

皆、いい顔をしていた。
ガクラもセンもライクスも、予想以上に笑顔が似合っていて、驚いた。
僕・・・笑ったことはないんだけど・・・

ラルヴァ「僕・・・笑ったこと・・・ないよ。」

ギス「気にするかぁそんなこと!さぁ!笑え!笑う門には福来る!さぁ!」

ラルヴァ「・・・」

口が、少しやわらいだ。















ニィ















―・・・!!!





僕は笑っただけなのに
皆はまるで ひどいものを見たような顔をした。
一瞬だったけど、その一瞬を、僕は見逃さなかった。

ギス「う・・・うん!やっぱお前も笑顔似合うよ!ハハハハハ!」

皆も笑う。しかし焦りを隠しているように見えた。


今頃隠したって遅いよ
もう僕が見た君たちの顔は僕の心から一生消えないよ

あんな顔―


僕は世界一笑顔が似合わないんだ
右目はギョロ目 左目は細目
笑えば顔がくずれるんだ

どこが  いい笑顔と言える


僕はそれから ギスとも 誰とも話さず
とりあえずその場をやり過ごし
家へ帰った


机にアンケートが置いてあった
昨日流した涙のせいか、まだ濡れていた。

僕は―

僕は―

信じていた 皆を 確かに信じていたのに
今日僕が笑ったときのあの顔でわかったよ



あんなやつら  友達なんかじゃない―

あの顔は 確かに怯えていた 
怯える友なんているか それは本当の友達といえるのか


・・・友情など―


月夜 僕は飛び出すように家を出た
何故か、アンケートを持って。

僕は一体何を?
これから何をするんだろう
何故アンケートを持っているんだろう
何故こんな月夜に家を出たんだろう


僕の頭が悪魔に食われている


さようなら
僕に友情の素晴らしさを教えてくれて有難う
さようなら





友情など潰れてしまえ






そう思ったときの右目は

月のように神々しく
金色に光っていた


それこそが―







―デビル・アイ―

このページについて
掲載号
週刊チャオ第228号
ページ番号
4 / 4
この作品について
タイトル
デビル・アイ
作者
レル(リュイ)
初回掲載
週刊チャオ第228号