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「[ あんまこっち見んじゃねーハズカシーから ]」
二人の"男"が夜の街で語りあっている。ここは駅の前。車も通らないような時間に、二人だけがその場にいる。
「そんなキャラじゃねーだろ」
先ほどの言葉に突っ込む。2人はただ仲の良さそうな男たち。

世の中は進展もなく、今までのことを全て引き継ぎ
いや、そっくりそのまま使う形ですごしていた。何も生み出さず、生産性の無い一生を過ごしてそのまま死ぬ世帯が出てきた。
全ての生物が他人任せになったとき、この現象が発生する。
AがBに、BがCに、CがDに。連鎖を起こしながら、結局は誰も生み出さない。
こうなってしまったことに気付けば、この連鎖は解かれる。不思議な現象である。
だが、行動を起こせない。二つ目の連鎖が襲う。
それまでに行動を起こせず過ごしてきて、突然一つ目の連鎖が解かれても何も解らない。
言うならば、そこは一つの"迷路"。
一つの誰であっても知り尽くすことが出来る、少しは広いきちんとした形の部屋。そこがスタート。
そこには何も障害が無く、何も発見が無い。
部屋の正面にその扉はある。何か発見に気付けばそれに気付ける、扉がある。
それが一つ目の連鎖。人は発見したことや、努力することを誰かに知ってもらいたいという願望を持つ。
部屋の中にいる人々に扉のことは広まり、そこで安定してすごしている者はそのまま元の生活に戻る。
逃げるのではなく、興味が無かったからだ。
その扉。一つ目の連鎖は簡単に開けられる。ドアノブの下に付いているカギ。それをそのまま使えば出られる。
ただし、そこを出たところで目の当たりにするのはどこまでも広がっている"迷路"だった。
その迷路を見て人は考える。

「ここはどこなのか?」

偶然にも発見したことで、それまではあの生活に慣れきっていた人々は部屋に戻っていく。
気力の問題でもあり、体力の問題でもある。
この迷路を無意識に作り上げてしまったのがその部屋の人々である。

「[ いやんばか~ん ]」
まだやっている。理由はアルコール。相当摂取したらしい。
目を覚ませようと殴れるものを探すが、掃除され尽くした駅の前には何もおいていない。
普段からポイ捨てをしないこの街の、概念すら存在しているのかどうかが怪しい、ゴミを探す。
そこで発見をした。
先ほどから酔っているこの男。手に注射器を持っている。中身が時々出るのは、男が圧力をかけているから。
「おい、それなんだぁ!?」
指を指しながら叫ぶ男の目線を追い、注射器のことであると危なげに理解した。
「[ コノヤロー ]!俺たちは[ 自由だー!! ]」
困ったような表情をして、自らの拳で軽く殴る。
大げさに倒れた。それを見て笑う。
「[ おいらのオナラはフル~ティ~でやんす! ]」
突然の一言に笑いを止め、戸惑っている。
「[ お前の脳思考はどうなってんだ・・・! ]」
フルーティーだからなんなんだ。嗅げとでも言うのか。
ワケのわからない男に、ついつい本音を出してしまった。後悔はしていない。
そんな馬鹿なことを言っている二人の前に、街灯で照らされながら何かが動いてくる。
人としちゃ小さすぎる。
「おい、なんだありゃあ」
しかしあんな不信なものを見ても男の暴走は止まらない。
[ (かっ可愛いなぁ~・・・♪) ]
泥酔しきった男はそんなことを考えながら、気を失った。殴っただけだ。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第223号+ソニック生誕記念号
ページ番号
1 / 12
この作品について
タイトル
「泥酔した吸血鬼」
作者
Sachet.A
初回掲載
週刊チャオ第223号+ソニック生誕記念号