ヒーローサイド・第12話 D-800
D-800には銃の攻撃が効かない。
何かいい策は無いものだろうか。
「ミズデモナイカギリ、ワタシヲタオスコトハフカノウダロウ・・・クククク。」
水・・・
全てのチャオは水から生まれてきた。
しかし、水を操る力を持つチャオは少ない。
時に優しいせせらぎを見せ、時に津波となり街を襲う。
そんな水を操ることができるチャオは、今まで見たことがなかった。
「これでも食らいなさい!」
カレンの声だ。
彼女が手に持った扇子のようなものを振ると、3枚の水の刃が現れ、D-800めがけて飛んでいった。
「グ・・・ミズヲアヤツルチャオカ・・・」
「今の技は水刃の舞。水の刃を飛ばす技。機械の弱点は水と電気…」
カレンは、いつもより厳しそうな表情だった。
「これで終わりです・・・。神雷!」
カレンが扇子を振ると、電磁波のようなものが放たれた。
電磁波のようなものはD-800に直撃した。
「ギギガガ・・・オマエ・・・ユルサ・・・ナ・・・イ」
D-800は大爆発し、中から2匹のチャオが現れた。
「ふー、助かった。」
「あんなロボの中になんて二度と入りたくないね。」
2匹のチャオの姿はどこかで見たことがある。
まさか・・・データ生命体「キラーシェル」と戦っていたあの2匹のチャオ!?
「あれ、あの時助けてくれた人だ・・・」
「今回はそのお供が助けてくれたみたいだね。感謝しないと。」
やはり、あの時のチャオのようだ。
「助けてくれてありがとう。オイラはムニムニ、こっちのクワガタみたいな奴はシャトルだ。」
「いえいえ、私達は当然のことをしたまでです。」
「ダークスターズの計画を止めるために旅をしているんだよネ。オイラ達を仲間にしてくれないか?」
ムニムニの発言に僕は戸惑った。
仲間は多いほうがいいが、多すぎても困る。
僕がそう悩んでいる間に、ルイガルが言った。
「旅は道連れ、世は情けだ。連れていってやろうじゃないか。」
ルイガルは優しくもあり、厳しくもある。
そんな存在だと僕は思った。
「ありがとう!奴らの計画を止めるまで、一生ついていくゼ!」
「僕からも礼を言います。ありがとう。」
新しい仲間、ムニムニとシャトル。
もしかすると、この二人にはものすごい能力があるのかもしれない。
しかし、その能力に期待しすぎては駄目だ。
過剰な期待をすると、後で後悔することになる。
僕はそう思いながら、仲間と共に次のフロアへの階段を上っていった。