[PROLOGUE]

Cold Memory [PROLOGUE]

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季節は冬・・・。

「ぶ・・・ぶうぇ~~~~くしゅん!!」
一瞬周りを歩いてる人が振り向く。
「さ・・・さみぃ・・・」
僕の名前はカルル。緑色の生命体でも言っておこうか・・。
僕は今ここに何故居るか全く分からない。
どっかの街で適当にバスに乗ってしまいそのまま何処に向かってるのかも分からずに、気が付いたら此処に来てしまった。ただ覚えてるのが・・・・・この街が何故か懐かしい感じがする・・・。

僕は右も左も分からずには取り敢えずどこか休むところを探した。
そして最初に目に入ったのが公園のベンチ。寒いけど仕方が無いか・・。どこか喫茶店でも入ればよかったと思ったがこの時間では流石に開いてないだろうな・・・。僕は雪をはらい落としそのまま座った
「尻が冷たてぇ・・・」
僕は何か温まるもの無いかなと思い辺りを見回してみた。
「何もない・・・そりゃ公園だからなぁ・・」
何も無いのを確認し下を向きながら自分の吐く白い息をただ見つめていた。
「・・・・・・・」
少し顔を上げてみたら目の前に自動販売機。
「公園に自販機とは初めて見たぞ」
足が勝手に自販機に向かっていく。自販機の[あったか~い]と書いてある札を見て更に歩く速度が上がっていく。
「コーヒー・・・・売り切れか、ココアでいいや」
そして僕は口の中からサイフを取り出した。
ここで何故口の中からサイフが出てくるんだと言うのは辞めていただきたい。
そして僕はそのサイフの中から小銭の入ってるところから120円を取り出してそのまま自販機の小銭入れに入れる。
ピッ、ガシャン!!
「一寸待て・・・緑茶とはどういう事だ、今すぐ理由を教えろ自販機よ」
僕は喋るはずの無い自販機に何故か喋りかける。
「ははは、君大丈夫?」
自分の真後ろから声がした。
「何だよお前」
一寸ムッとなってしまったのか・・・初対面の人にお前なんて出てしまった・・。
「自販機に話かけるほど何かあたたかいものが飲みたいのかい?だとしたら家にきなよ、あったかいコーヒー出すよ?」
初対面の人にしては何か親切だな・・・、このまま付いて行ってもいいのかな・・。「そ・・そんなまだ身内も何も知らない初対面の人に言われても信用できるわけーーえーぇぇえーー・・・・・・」
「わけ・・何かな?」
良く考えてみると僕はまだこの街で泊まるところも何も決まってない・・・今此処で素直に付いて行って休ませてもらうのは吉だろう、それにもし罠かなんかでもその時はその時。今ここで凍え死ぬよりマシだな。
「お願いします~・・」
我ながら情け無い声が出てたものだ。
「フフ・・・素直でよろしいよ」
そして僕はそのまままだ名前も知らない謎の男に付いて行った・・・。

ガチャ。
その男ポケットの中から鍵を取り出してドアノブの中心に空いてる鍵穴に入れた。「あがってあがって、部屋片付けてあるから少しは安心してくつろげると思うよ」
こんな見知らぬ人の家にあがりこんで安心もクソもないんだけどな・・。
「一寸待ってね、今コーヒーやるから」
そいつはそのまま台所に入っていった。
このまま包丁でも取り出してきて金だしな!!!何て言って来るんだろうか・・・。実はコーヒーに毒が入っててそのまま毒殺?いや・・少しは人を信用しよう・・でもやっぱり一寸不安だぞ・・・。
「おまたせ」
男は台所から二つのコーヒーカップを持って出てきた。
「ども・・」
「大丈夫、毒なんて入ってないから ニコ」
こ・・・心を読まれたのか・・・それにニコって何だよニコって、余計怪しいぞ・・。
僕は取り敢えずその男の言葉を信じて一口飲んだ。
・・・・・普通だ、それにあったかい・・。
「ふぅ~~・・・」
毒の疑いが晴れたおかげか、僕は一気に気が楽になった。
「毒が入ってなくて安心しのかい?だから言ったのに ニコ」
ま・・また心を読まれた!?てかまた笑顔でニコなんてされても・・。
「えっとぉ・・名前ぇー・・名前ぇー・・まだ言ってなかったね、僕カルル」
取り敢えず名前だけどもと思って聞いてみた。
「僕はツユキだよ、今日泊まる所無いなら家に泊まりなよ」
「い・・いいの?」
「うん、どうせこの家には僕一人だけで部屋なら2つほど空いてるから」
なんとも幸運、やっぱり人は信じるべきだと思った。
「今日はもうこのまま寝るよ・・・疲れた・・」
「あ、じゃあ布団しいとくから一寸待ってね」
そして僕はその後あったかい布団でツユキと言う人の家に泊まった。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第165号
ページ番号
1 / 2
この作品について
タイトル
Cold Memory
作者
アストロ(ドラゴチャオ)
初回掲載
週刊チャオ第165号
最終掲載
週刊チャオ第166号
連載期間
約8日