[1.朝]

ピピピッピピピピッピ!!
「・・・・・・・・んー~・・・・」
僕は自分の頭の方から聞こえてくる電子音らしき音の方へ手を動かした。
カチ。目覚まし時計が鳴っていたんだ、だが音が止んだと思えば次は「目覚ましOFF確認、念の為もう一度ボタンをお押しください。目覚ましOFF確認、もう一度~~・・・」
・・・・・・・・。
喋る目覚まし時計とは珍しい・・が今カルルにとってはそんな事どうでも良かった。
ガシャ。こんどはさっきより荒っぽくボタンを押した、と言うより叩いた。
「確認完了、おはようございます!朝です!おはようございます!朝です!おはよぉ~~・・・」
くどい目覚まし時計だな・・・・・・・・・。
いいかげんカルルもこの声にイラついてきた。
バン!!!!
・・・・・・止まったか・・。
「ブーブー!!ボタンはやさしく押しましょう、破損の恐れがあります!!ブー~~・・・・・・・・」
ガッシャーン!!バギバギ!!ゲシゲシ!!
どうだ・・・まいったか・・・。
「ゼェ・・ゼェ・・・」
一体僕は朝っぱらから何をやってるんだ・・・・。
「・・・・・・起きるか」
僕は敷いてある布団を丁寧に畳み、そのままドアを開けてリビングに向かった。なにやらいい匂いがするがきっとツユキが朝ご飯を作っているんだろう。ん~・・昨日突然ここに泊まらしてもらって何だか悪い様な気がしてきた。
ガチャ。
「おはよう、随分と寝てたねー」
ツユキがコーヒーを飲みながらニッコリ笑って声を掛けて来た。
「おはよう・・・・そんなに寝てたかな」
僕はおかしいなぁ~と手で頭を撫でるしぐさを見せ苦笑いしながら返事をした。取り敢えず気まずくならないように出来るだけ話していよう・・。
「うん、だってもう2時一寸すぎだよ」
それほどまでに僕は疲れていたんだろうか・・・・・確かに昨日布団に倒れそのまま3秒も経たず内に寝てしまったのは覚えているが・・・。
「はは・・・確かに寝すぎたね・・」
「顔色悪いけどどうしたの?」
「ん?そんな事は無いさ、僕は今目覚めスッキリで気分最高!!って感じなんだ」
「ふっふっふ・・・面白い人ですね」
「はっはっはっは」
なわけ無いだろう。
あの変な目覚ましのせいで目覚め気分共最悪だ。それにしても目覚まし時計に説教されることになるとは・・・・・。
「取り敢えず朝ごはんになるかどうかは知らないけどテーブルに置いてあるよ」
「ん・・あぁ、ありがとう」
こいつはいい奴だ、きっとそうだ、そうに違いない。
「僕君が起きるのずっと待ってたんだよ、色々聞きたい事もあるしね」
「ふぉうふぃえぇふぁ、ふぃふしぃほはひほおしえふぇふぁふぁっはな(そういえば身内も何も教えてなかったな)」
「飲み込んでから喋りなよ」
「ふぁふぁ(あぁ)」
ゴックン・・・・・・・・・。
* * * *
「へぇ~・・じゃあ君は旅人なんだね?」
「いや、旅人と言うより生きる事に必死になってるただの貧乏人って所かな・・・・・・・」
「まぁ大して変わらないと思うけど取り敢えず此処には用も無く来ちゃったんだね?」
「まぁそうだ」
「だったら泊まる所は無いんだよね?」
「無い」
「じゃあ此処に居てもいいよ」
「よし」
・・・・・・・・・あれ?
「一寸待ったぁああ」
あまりにもスムーズな会話なため思わずよしなんて言っちゃったじゃないか。
「どうしたの?」
「ん?え・・いや・・・そのぉ・・・」
ここでまた何か言うと面倒だし素直に言葉に甘えるべきか・・・・・、そうだそれが正しい、的確な判断だ。
「これからお世話になります!!」
「はぁ~い」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第166号
ページ番号
2 / 2
この作品について
タイトル
Cold Memory
作者
アストロ(ドラゴチャオ)
初回掲載
週刊チャオ第165号
最終掲載
週刊チャオ第166号
連載期間
約8日