ちょっと遅めの夏休み

夏休みは仕事続きで、
ろくに俺の3人のガキどもを海に連れて行けなかった。
まぁ、今年はこれで良いと思っていたのだが・・・。

夏休みが終わり一週間が過ぎたころ、
小学校の夏休み話で自慢できなかったと嘆いてきた。
そこで、俺は思い切って連れて行くことにした。

ちょっと遅めの海へと・・・。

3人は人がいると少し、期待していたようだが、
誰もいない海を見てため息をついた。

海にいるときはずっと、
ただ、彼らの持ってきたチャオのおもちゃが笑っていた。
俺は昼間ずっと、ここに来たことは失敗かなと思った。
日差しは昼だが、そんなに暑くはなかった。

しかし、夕方になりかけの頃、
俺は車の中から、花火をとりだしてきた。
ちょっと時間は早いがやろうと言うことだ。
子供の目が初めて少しきらきらとなった。

打ち上げ花火、など、いろいろな花火を、
子供達はどんどん暗闇に彩らせる。

俺はふとチャオのおもちゃに目をやった。
そして、また子供達の方に目線を戻した。

・・・あれ?

そこには3匹のチャオが一瞬見えた。
3匹のチャオが花火を持って駆けている。

俺は目を凝らす。
そこには花火をもちながら走り回る、3人の子供がいた。
・・・ああ、やっぱりいつものガキどもか。
俺は苦笑いしながら線香花火を取り出した。

パチパチと線香花火はゆらめいた。
子供達はじっと、その玉が大きくなるようにがんばった。

チャオのぽよのような玉がふと落ちた。

いわゆる、もうすぐ帰る時間という合図だ。

車に乗り込むと、やっぱり子供達はぐっすりと寝込んだ。
俺はその寝言に耳を傾けた。

―父ちゃん、今日はありがとね。

夏の星座と秋の星座が入り交じる夜空の下、
海岸線の道を一台のワゴン車が駆け抜けた。

この作品について
タイトル
ちょっと遅めの夏休み
作者
それがし(某,緑茶オ,りょーちゃ)
初回掲載
週刊チャオ第239号