父の日 ―Father's day―

父の日・・・。父を祝い、感謝する日のことをそう言います。
その日に、お父さんが『亡くなって』しまったら、貴方はどうしますか・・・?

此処はチャオの森・・・。森の中では、チャオが平和に暮らしていました。

勿論、喧嘩なんてものはなく。そんな事をする暇があったら共存する方が大切だったのです。
そのに、2匹のチャオが居ました・・・。

「ほらほら、早く食べるチャオ。」
「えー、また実を取りに行くのチャオか?」
1匹のチャオがウンザリした顔で木の実を取ります。

この2匹のチャオは「チャオスケ」と「チャロウ」。人間の家族で表せばチャオスケが息子で、チャロウが父親と言う所でしょう。
「そんなこというと、昼ごはんとかが食べられないチャオよ?」
「わ、分ったチャオよ。お父さん。」
チャオスケは木の実に噛り付きます。木の実はびわのような味で、少しだけパサパサしています。
基本的にこの森での主食は木の実で、他の物は滅多に食べないでしょう。
数分後、チャオスケが食べ終わった時にはチャロウは木の実を取りに行く準備をしていました。
「ほら、行くチャオよ。」
そう言い、家のドアを開けた。チャオスケは今だ不機嫌そうな顔をしてました・・・。

ドアの向こう―。丁度朝を迎えた森は、とても綺麗だした。
小鳥がさえずり、森の葉っぱは光に当たって緑色に光ってました。

森の至るところにある家から、煙がもくもくと上がっています。
「さて、こっからが大変チャオね。父さん。」
「そうチャオね・・・。何で道とか作らないチャオ。」
そう言い、何度もチャオが通った跡を辿り歩き始めました。

数時間後、やっと木の実が生えている林にたどり着きました。
木の実を取るのは相当な力が要り、木を揺すり落とすしかないのです。
チャロウはずっとやっていることなので、楽々木を揺らし、実を落としますが・・・。
チャオスケは非力なのでしょうか。揺れるのは葉っぱだけでした。
「何で、こんなに重いのチャオ・・・?」
ぜえぜえ、と息を切らせながらチャオスケは言いました。

木の実を数個バスケットに入れたチャロウが、それを聞き近づいて来ました。
「情けないチャオ。もうちょっと鍛えなきゃだめチャオよ?」
そう言いながら、チャオスケがやる筈の木を揺らし、実を取りました。
「まだ幼いのに、此処まで出来るのは僕しか居ないチャオよ?」
「それ以上成長しなきゃ生きて行けないチャオよ。」
そう言い、チャロウは家へ帰る道を歩き始めました。
「僕だって他の子と一緒に遊びたいチャオよ・・・。」
不満そうに、チャロウの後にチャオスケが急いでついていきました。

丁度戻った頃には昼間近。殆どのチャオが森に出て、色々な遊びをしていました。
木のツタを利用したブランコで遊んだり、一緒に歌を歌ったり・・・。
チャオスケは家に戻った後、急いで仲良しの3人組のところへ行きました。
「チャオスケ―!また実を取りに行っていたチャオか?」
ノーマルチカラタイプの赤い『チャーム』はそう言いました。
「そうチャオ・・・。朝から疲れるなんて、嫌チャオ・・・。」
そう言いながら、切り株の椅子にチャオスケは座りました。

「大丈夫チャオか?いつも大変チャオね・・・。」
黄色いオヨギタイプの『チャオタン』はそう言いました。
「交代して欲しいチャオよ・・・。」
「あはは、いつもお疲れ様チャオね。」
チャームが笑いながら言いました。
「そう言えば、『チャチャ』は来ないのチャオか?」
「あいつは昼ごはんを早く食べているから、遅いのチャオよ。」

数十分後、チャチャと言うヒコウタイプの女の子のチャオは来ました。
「ごめん、遅くなったチャオー。」
女の子とあってか、ずいぶん明るい声でした。
それを見たチャオスケは、顔を赤らめています。
「ぷぷ、チャオスケの顔、赤くなっているチャオよ?」
ニヤニヤとした顔でチャオタンが話し掛けます。
「な、何を言っているチャオ!少しのぼせただけチャオよ!」
やけにむきになってチャオスケが言いました。

数時間―、4人組のチャオは色々な遊びをしました。
木の上にのぼって、下の風景を見てフラフラしたり。河へ言って、バシャバシャと泳いだり・・・。
とにかく楽しい時間があっという間に過ぎていきました。
そして・・・。巣立ちの瞬間はもうすぐ迫っていました。
チャオスケが早く木の実取りをし始めた理由―。それも明らかになるところでした。

ちょうど4人組がブランコ遊びをしている頃、大人のチャオが急いで走ってきました。
「た、大変チャオー!チャロウさんが・・・!」
そう言いながら4人組の所まで大人のチャオが走ってきました。
「何があったのチャオ?」
ブランコに乗っていたチャオスケが大人のチャオまで近づいて来ました。
「チャロウさんが・・・。死にそうチャオ。」
冗談では無い、まさに本当のことをチャオスケは言われ、他の3匹のことも忘れ家に走っていきました・・・。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第120号
ページ番号
1 / 2
この作品について
タイトル
父の日 ―Father's day―
作者
MASUO(ますお,ます)
初回掲載
週刊チャオ第120号