第18話(最終話)「物語の本当の終わり」
突然声も無く泣き出したチャサリンを見て、みんな驚いた。
チャオリンは、自分が泣かせてしまったのではないかと、慌てふためいている。
そんな皆の様子を見て、チャサリンは静かに話し始めた。
チャサリン「ごめん・・・ね。チャオリンのせいとかじゃないから・・・。元の世界へ帰れるから…嬉しい筈なのに・・・。涙が止まらなくって・・・」
チャサリンも皆と別れたくないんだよね・・・。
チャサリンの言葉を聞いて、エンジェ達はしょんぼりしたようだった。
チャスタ「僕達の・・・せいだよね。二人とも、帰りたがっていたのに、無理に引き止めて・・・」
確かにそうかもしれない。けど、そのおかげで僕らはチャオリン達に出会えたんだ!
悲しむ事ばかりじゃない・・・!
僕は、そう目で訴えた。
エンジェはそれを読み取ったらしく、表情に笑顔が戻って来た。
エンジェ「そうね・・・。あんたの言う通りだわ。じゃあ・・・どうする?帰るの?」
僕はチャサリンの方へ目をやった。
チャサリンはもう泣き止んでいた。まだ皆は気付いてないみたいだけど。
僕の視線に気付くと、こっちを向いて笑顔で答えた。
チャサリン「うん、いいよっ!」
そう言いながら僕の側へ駆け寄る。
僕とチャサリンは、心配そうな表情をしている皆の方へ向いた。
シルバー「じゃぁ・・・。お別れ!」
チャサリン「本当にありがとう!」
僕らは深々と頭を下げた。
一応、国王も居る事だし・・・。
クレア「貴方達に会えて、本当に良かったです。でもやっぱり・・・帰るのですね・・・」
クレアはますますしょんぼりする。
チャオリン「そんな暗い気持ちでさよならなんて、絶対後悔するっ!だから、もっと明るくいこーよ!・・・さよなら!シルバー、チャサリン!」
明るい笑顔でそう言ってくれた。
チャオリンは笑顔づくりが本当に上手いよね。
シルバー「それじゃあエンジェ。どうやったら扉が開くの?」
僕がそう尋ねると、3人は空へと舞い上がった。
エンジェ「今からあたしが言う事を、同じよーに繰り返して!いい?」
僕らは黙って頷いた。
僕はチャサリンの手を握り締めた。チャサリンも握り返してくれた。
エンジェ「エンジェ、チャスタ、ビル。汝らに秘められた力、今こそ解き放たん。他の世界への扉、開け放てっ!」
さっきシリアルとやった時と似てる・・・。
同じように集中して・・・。
シルバー「エンジェ、チャスタ、ビル!汝らに秘められた力、今こそ解き放たん!」
チャサリン「他の世界への扉、開け放て――っ!!」
僕達がそう叫んだ途端、エンジェ達の体が強く光り、空中に白い穴が出てきた。
辺りの風もみんなその穴に吸い込まれていく。
あの時と同じ・・・。
僕達は白い穴に飛び込む。
だけど、エンジェ達は来なかった。
シルバー「エンジェ!?」
エンジェ「あたし達は、元々こっちに居たから・・・。残るわね」
そっか・・・。残念だけど、仕方無いよね。
後ろを振り返ると、みんなが笑顔で手を振ってくれていた。
僕とチャサリンは、しっかり手を繋いで、真っ白な空間へ落ちていく。
ここで起きた出来事・・・
僕は・・・絶対忘れないよ。
――ヒーロータウン――…
私達は、たまにこうやって全員、この公園へ集まるの。
シルバーとチャサリンが帰ってきた時に、皆で迎えられるように・・・。
そう言ったのは、チャローズだっけ?
ヒーローカオス様も、ライトカオス様も、ダークカオス・・・様も。みんなで・・・。
ダークカオス様は、シルバーとチャサリンが白い穴に吸い込まれてしばらくしてから、目が覚めたの。
口は乱暴かもしれないけど、いい人だよ。
フライヤ「今日こそ帰って来るよね・・・」
私はそう呟く。
みんな黙ったままだ。
シルバーとチャサリンが吸い込まれたあの穴。
みんなで調べたけど、結局何も分からなかった・・・。
今は2人が帰って来るのを、祈るだけ・・・。
と、レッドが驚いた様子で、私の後ろ指し示しながら言った。
レッド「お、おい!あれ!」
フライヤ「え?」
私はすぐ振り返った。
「お~い!みんなぁ~!!」
そう叫びながら、満面の笑顔を浮かべて走ってきたのは、紛れも無く・・・
フライヤ「シルバーっ!チャサリンっ!」
毎日、早く帰って来て欲しいと願っていた、あの二人だった。
☆終わり☆