29話。戦いの終結は・・・一体? ルイス編。後編
その瞬間、私の体が熱くなるのが分かった。
許せない・・・そんなことのために・・・チャオチャオを利用したなんて・・・
私の仲間を利用したなんて・・・
私はもうさっきの傷の痛みなど感じてはいなかった。
ただ体の中からわきでる怒りで気持ちがいっぱいで・・・
自分が何をしていたのかすら・・・わからなかった。
「ルイス!!落ち付いてください!!危ないです!!」
私の下のほうから声が聞こえる・・・たぶんチャオチャオの声であろう・・・
でも今の私にはチャオチャオの声も何も・・・何もわからなかった・・・。
ただ無我夢中で・・・アイチェに飛びかかり、攻撃してたのだと・・・思う。
だが、怒りに身を任せた私の攻撃はいたって単純で、アイチェにすべてよけられてしまう。
許せない!絶対に・・・許せない!!
この言葉だけが今の私を支配していたのだ・・・
だが、そろそろ私の体力が限界に近づく・・・
というときだった。
・・・おやめなさい・・・
急に熱くなっていた、私の頭の中に声が響く。
と・・・その声が聞こえたと同時くらいに私の中でフッっと怒りが消えたような感じがした。
・・・落ち付きなさい・・・ルイス・・・怒りは何も生み出さない。
もっと冷静になるのです・・・。
またこの声だ・・・
どこから聞こえてくるかは分からない・・・でもこの声は私の体中に反響して、熱くなっていた私の体をほんのりと冷やして行った。
・・・落ち付いたようですね。
もう貴方の体力は限界に近づいています・・・このまま攻撃しつづけていれば・・・いずれ・・・貴方の身がもたない・・・。
その声がそう言うと同時に私の体がドスっと重くなった。
「クッ・・・」
私は急に重くなった体にびっくりして小さな悲鳴をあげた。
・・・ほら・・・怒りに身を任せていると自分の限界までわからなくなってしまうのです。
いいですか・・・貴方の体力ははっきりいってもう限界です・・・
これ以上戦いが長引けば・・・貴方が倒れかねない。下手をすれば一生の眠りにおちいってしまうのですよ。
だから・・・これから私をいうことをよく聞きなさい。
「な、何をすればいいの?私は・・・」
私はもう飛んでいることすら難しくなり、落ちかけている身体を一生懸命、支えながら、その声に向かってそう問いかける。
・・・まず、手を空にむかってあげてください・・・
そして・・・私が唱える呪文を繰り返しなさい。
「わ、分かった。」
私はおもむろにそういうと、空に向かって手をあげ、その声が唱えた呪文を力なくつぶやいた。
・・・我が主、ウィンデーネのもとに・・・
スベテノ水ノ・・・封印・・・解キ放テッ!!!
「ウォーターアロー!!」
力なくそういった、私の手の先?からは、凄い量の水が噴出し、そのうちそれが姿を変えて弓矢となった。
・・・さあ・・・行きなさい。そして・・・悪しきものを打ち倒せ!!
私は意識の中でそうとなえるその声が聞こえたとたん、私がさっきだした、弓矢はアイチェに向かって飛んでいった。
その弓矢がアイチェに当たるか当たらないかのところで私は意識を手放した・・・
頭の中ではさっきの声が響いている・・・
ああ・・・あたし・・・どうなっちゃう・・・の・・・
そんなことを考えたきり、私の体はガクンと上空から急降下した・・・
続く・・・