#1
その世界は闇につつまれていた。
町は病人があふれ、人々は生きる希望を失っていた。
世界はすでに滅びの道を歩んでいたのだ。
その日は・・・・
”ピッ”
「!?」
「おめーは、何で昼間っからこんな暗い映画見てんだよ。」
熱心にTVを見ていたそのチャオは、突然消されたTVに驚き
話しかけられた相手の方向を見上げた。
「あ、デンデン丸君だ!」
”ギロリ”
デンデン丸と呼ばれたチャオはその言葉を聞いたと同時に
相手を睨みつけていた。
【デンデン丸】「だ・か・ら、その名前で呼ぶなと言ってるだろうが!
いいかドラム、俺の名は『DDM』だからな!」
【ドラム】 「う、うん。わかったよデンデン・・・・」
【デンデン丸】(ギラリ)
【ドラム】 「じゃなくて、デーデーエム君。」
【デンデン丸】「ディーディーエム。おまえもっとなめらかに発音しろよ。
おまえのじゃあ、へっぽこに聞こえちまう。
それから君もいらん。『よぉDDM!』て感じで頼むぞ。」
【ドラム】 「うん、努力する。でもなんでその・・ホントの名前じゃダメなの?」
【デンデン丸】「おまえなぁ、流行の最先端を行くチャオのおれがそんな
ださださでへっぽこな名前じゃカッコ悪いだろ!?」
そうなのだ。イケてるチャオをポリシーにする彼にとって
デンデン丸という名前はとてもとても大きな問題だったのだ。
【ドラム】 「大変だねぇ、DDM・・・・・・・・・君。」
【デンデン丸】「・・・もういい。君付けは好きにしろ。」
【ドラム】 「うん!」
【デンデン丸】「さーて、いつまでもガーデンでおしゃべりしてないで
街行こうぜ!」
【ドラム】 「いいよ、いこういこう。」
チャオタウン。
地球のどまんなかから北へ200億歩、東へ飛行機で2時間、3日休憩して
350分ほふく前進したそのまた先にある、ちょっと大きめの街だ。
気候は温暖、夏は暑く冬は雪も降る。
街の南には砂浜が広がり夏は海水浴に最適。
北には山が広がり冬は遭難に最適。
…いやスキーに最適。
街の中心部は大きなビル群。郊外には高級住宅街もある。
そしてチャオタウンの最大の特徴は人間とチャオが共に
生活し、それぞれが社会を作っている。
つまり人間の市長の他に
チャオの市長がいて
チャオ達の学校、病院、TV局なども街の中にはあるのだ。
【デンデン丸】「今日は5番街で時計に夏モデルが入るらしいぞ。」
【ドラム】 「へえー、僕は鳩が出る時計の腕時計版がほしいな。」
【デンデン丸】「・・・おまえよく変わった趣味ですねって言われるだろ。」
【ドラム】 「そんなことないよー。」
春うららかな5月のチャオタウン。
おしゃべりしながら街を歩いている2匹であった。
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