第五話 ひさびさのさいかい

チャリンは、バス停に向かって走る。
辺りはもう電灯が点いている。
外に出ている人もほとんどいない。いたとしてもネクタイを頭に巻いてる酔っ払いのオジサンくらいだ。
吐く息が白い。

「や、やっとバス停が見えました!!」
ラストスパートをかける。
「チャスケーっ!!」
チャリンは、バス停の近くのベンチに干物の様に干からびているチャスケを発見した。
「おそい・・・ちゃりん・・・がはっ」
「まあ。生きてました。よかった。ほんとによかった。」
手を目のところに当て、涙を流す(ような動作)をするチャリン。

「で・・・」
チャリンがいつもの態度に戻る。

「何してたんですか?」
「何してたも糞もあるかっ、それはこっちの台詞だ。おそい!」
「はいはい、もうしわけございませんでしたー」
「思いっきり棒読み口調じゃねーか」
「とりあえずこっちの質問に答えろ」
「「ああっ!ぼくのポヨが無い!おとしちゃった!」と叫んで周りの人・更には運転手さんにまで手伝ってもらってバスを止めてました」
「善意を悪用している」
「他にどんな方法があるんだよ」
「知らん」
「知らんくせに言うなあああああ!!」
怒りでぐるぐるパンチで殴りかかるチャスケ。
しかし余裕でかわされ、地面に激突する。
「あーあ。」

「で、そっちはなにがあったんだ?」
擦り傷だらけのチャスケは尋ねる。
「なんのことはありません、ただ家に不審者がいて後処理に苦労しただけです。」
「なんだ、そんなことか。なら家に帰ろう。明日見学に行くか。」
家の方を向いて歩き出すチャスケ。

数歩歩いて、ピタッと歩きが止まった。
「「家に不審者がいた」だってええええ!!どう考えてもおかしいだろ!」
「あなたが追求しなかっただけです。」
「俺の馬鹿あああああああああ!!なんでスルーなんだよおおおおおおお!!」
「やっと自らを馬鹿と認めたか」
「ケアレスミスだぜ」
「あっそ」
「で、なにか盗られたりしてなかったのか?」
「警察の方が捜査されていきましたが、1リングも盗まれていませんでした」
「指紋は?」
「なかったそうです」
「となるとチャオか?」
「私が見たかぎり人間でした」
「顔は見たか?」
「サングラス&マスクという、まさしく「俺はどろぼうだ!!」と自己主張してるような奴でした」
「顔を見てるのか見てないのかはっきりしろ」
「見てません」
「ちっ」

チャスケはまた家の方を向くと、歩き出した。
「とりあえず、飯をくれ。朝から食い物を食ってねぇ」
「それもそうですね。」
チャスケの腹の音がする。
「あいあむはんぐりぃ」
「あなたの名前ははんぐりぃなんですか」
「間違えただけだ。それよりなんでお前の腹は鳴らんのだ」
「家で食ってきましたー」
「せこい」
「チャスケのこと忘れてましたー」
「ひどい」
「ざまぁ」

二人は、話しながら帰路についていた。

このページについて
作者
じぃざむらい
掲載日
2010年2月20日
ページ番号
9 / 18
この作品について
タイトル
チャオタワー建設途中
初回掲載
2010年2月4日
最終掲載
2010年8月22日
連載期間
約6ヵ月19日