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ナックルズがガーデンから出て行った後、チャオタンはお池からあがります。
その瞬間、お池の中にいた時はコロっと忘れていた激痛が、チャオタンの体を襲います。
その場にしゃがみこみ、腰のあたりをとんとん叩きます。

自分に迫ってきたナックルズ。
その怖そうな顔が、チャオタンの脳裏をよぎります。
思わず頭を両手で抱え込むチャオタン。
チャオタンは怖そうなナックルズの顔を忘れようと、頭をおもいっきりふります。
「わ~ん、ひどいちゃお~。」
頭を振りながら、いわれの無い暴力に泣き出すチャオタン。


「でも、チャオタンもひどいちゃお。」

その言葉に、うつむいた顔を上げます。
そこには、ガーデンのお友達がみんな居ます。
「ボク、ひどいことしたちゃおか?チャオタンはナックルズにぶちのめされるような悪いこと、してないちゃお。」
チャオタンは、涙に震える声で答えます。

「何言ってんちゃお!」
チャーマッハが叫びます。
「そうちゃお。ボク達の小動物を、横取りしたちゃお!」
ヒカルも叫びます。

「え~?だってボクには小動物くれないちゃお~。ボクも抱っこしたいちゃお~。」
チャオタンも必死に訴えます。
「ボクは、いらないちゃお。」
小声でつぶやくチャーマッハ。
「ちゃお?」
よく聞き取れなかったチャオタンは、もう一度聞き返します。

「ボクも、チャオタンみたいにちょこちょこ歩きたいちゃお~。のっしのっし歩きは、いやちゃお~!」
チャーマッハは、涙をためて叫びます。
「ちゃお?」

小動物は欲しくない。

今のチャオタンには、考えられないことでした。
チャオタンは、なぜチャーマッハがそう言うのか、分かりません。

「ボク達は、小動物を抱っこさせられてるだけちゃお。」
そんなチャオタンを見て、今度はチャイルトンが言います。
「そうそう。チャオタンって、なでなでしてもらったり、抱っこしてもらってりしてるちゃお。」
チャイルトンの言葉に、チャープがうなずきます。

チャオタンは、はっとします。
ソニック達は、いつもボクの周りをうろうろしているちゃお。

それは、他のお友達とは明らかに違う接し方です。
その時、ガーデンにシャドーが入ってきます。
シャドーはチャーマッハを抱っこすると、お池の向こうのレース場入り口前の岩棚に連れて行きます。
ここなら他のチャオに邪魔されることも、ありません。
チャーマッハに10匹ハシリ系小動物を抱っこさせると、シャドーはガーデンを後にします。

岩棚に1人取り残されたチャーマッハ。
ここから、どう戻るか。
チャーマッハは意を決して、お池に飛び込みます。
「あっぷあっぷ。」
しかし溺れるチャーマッハ。
「チャーマッハ~?どうしたちゃお~?」
そんなチャーマッハを見て、チャオタンは叫びます。
「しょうがないちゃお。」
チャイルトンは、悲しそうに言います。
「ボク達は、ハシリ系ばかり抱っこさせられたちゃお。だからもう、飛ぶ事も、泳ぐ事も出来ないちゃお。」
「な、なんちゃおってぇ~?」
その言葉に思わず、チャオタンはお池に飛び込みます。

「ごめんちゃお~、チャーマッハ。ボクが間違ってたちゃお~。さあ、ボクにつかまるちゃお~。」
チャーマッハに泳ぎ寄るチャオタン。
しかし溺れるチャーマッハの耳に、チャオタンの声は届きません。
目もつむってるので、チャオタンの姿を見る事も出来ません。
チャオタンは、チャーマッハの背中側に回り込み、岸へと押していきます。



ガラガラのおもちゃ。
チャオタンがチャオレースで勝ち取った賞品です。

にっこにこと思いっきり振り回すチャオタンの向こうで、スズキチャイチがソニック人形を振り回して遊んでます。

チャオ達が楽しく暮らすチャオガーデン。
今日もみんな仲良く遊んでます。

おしまい。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第123号
ページ番号
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この作品について
タイトル
チャオタンノユウウツ
作者
あさぼらけ
初回掲載
週刊チャオ第123号