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「俺は、俺より強いやつに会いに行く!」
そう吐き捨てて、彼は住んでいたガーデンを飛び出した。もう何年も前のことである。
彼の名前はリュウ。派手なドラゴンパーツに身を包まれた、ダークノーマルタイプのチャオである。ちなみに色はピュア。
リュウは、自分より強いチャオに出会うべく、全国津々浦々のチャオカラテ道場の門を叩きまくり、片っ端から勝負を挑んでいった。いわゆる道場破りであるが、看板には興味ないのでスルー。通り魔のほうが近いかもしれない。
しかし、どの道場にも、リュウを満足させるチャオはいなかった。リンゴを被ったチャオ、スイカを被ったチャオ、プンプンだかブンブンだかわからないチャオ。どいつもこいつも、リュウの足元にも及ばず、リュウは道場を回るごとに失望を重ねていった。
もはや俺にかなうものなど存在せぬのか。リュウがそう感じ始めた時、風に乗って、ある噂がリュウの耳に届いた。それは、カオスチャオが師範を務めているという、あるチャオカラテ道場の噂――。
カオスチャオ。それは、ありとあらゆる小動物からの加護を受け、幾度となく死を乗り越えたチャオのみが辿り着けると言われる、チャオの最終進化形。三種類いると言われ、いずれも不死の存在であるという。眉唾物の話だという印象を拭いきれないし、実際、カオスチャオの存在は確認されていない。
でも、もし本当にカオスチャオが存在するとしたら。すべての小動物の力を得て、不死身の肉体をも手に入れているとしたら……。
「きっと、強いに違いない!」
リュウは歩き出す。強いチャオを求めて……。
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