「CHAOS PREVIEW」 part46

00 CHAOS WORLD CHAOS PREVIEW
Scene8

1週間待った。
ついにその時が来た。
「目的地はあのドーム」
オルガが指し示した場所。
そこで光の柱が発生する。
「ただし、あそこには小動物目当てにチャオが集まってきている」
オルガが頷く。
「だから時間ぎりぎりを狙って、大群が過ぎ去った後を通っていく」
下手に待ちすぎると逆に光の柱に間に合わなくなる。
また、本当に光の柱が彼女の知っている通りに出現するとも限らない。
その2つについて正確に判断できるポイントは1つだけだ。
白い髪の少年を探す。
あの少年が鍵を握っている。
「どこにいる……」
時刻は1時を過ぎた。
光の柱が出現するのは2時。
あと1時間もない。
「見つけた」
オルガが声を出した。
オルガの見ている方向を俺も見る。
そこにはチャオが倒れていた。
まだ死んではいない。
「たぶんここを通った」
「あいつが、か?」
「そう」
オルガが走る。
それを追いかける。
倒れているチャオを目印にして少年が通ったと思われるルートを辿っていく。
そして最後に明らかな印があった。
少年の死体だ。
「うん。合ってる」
少年の傍らに携帯電話。
オルガはそれを取り、操作する。
「問題ない。ちゃんと物語通り」
オルガが画面を俺に見せる。
すぐ先ほど数分前に乱橋という男と通話していたことがわかる。
物語通りに事は進んでいる。
この少年がチャオに殺される。
死ぬ前に少年は乱橋に電話をかける。
そのメッセージによって戦うことを決める。
そしてその結果。
「光の柱が出現する」
俺たちはドームへ向かう。
さっきまで歩いていた道はこの少年がチャオを倒してくれていた。
ここから先は期待できない。
乱橋とかいう青年がチャオを倒してくれればいいがそれは期待できないらしい。
ドームへ向かった後であることを期待するしかない。
「なあ、オルガ」
「なに?」
「俺たちが向かう世界は、どんなところなんだ?」
「面白いところだよ」
オルガは笑みを浮かべる。
「みんないる。私だけじゃなくて、ね」
だけど、とオルガが続けた。
「だけど橋本だけいないんだ」
「そうなのか」
「だからその世界に行かなきゃいけない。穴を埋めないと。どうせ夢みたいなもんなんだからそこまでしなくてもいいんだけどさ。やった方がすっきりするでしょ?」
「ああ。そうだな」
早すぎても危ない可能性がある。
時間を調整するためにこまめに歩調を変えて歩く。
ドームが近づいてくる。
オルガがはっとして後ろを振り向いた。
俺もそれにつられる。
視界に、チャオが数匹俺たちを見つめているのが見えた。

続く。

このページについて
掲載日
2009年12月20日
ページ番号
46 / 75
この作品について
タイトル
CHAOS PLOT
作者
スマッシュ
初回掲載
2009年11月3日
最終掲載
2010年7月17日
連載期間
約8ヵ月14日