「CHAOS PREVIEW」 part45

00 CHAOS WORLD CHAOS PREVIEW
Scene7

色々と聞きたいことはあった。
それを承知した上でか、オルガは俺に公園から出て人の少ないところで話そうと提案した。
白い髪の少年とそれと話していた青年は今では人間の姿に戻っていて、チャオの飼い主と思われる人たちに囲まれている。
彼らのことはとても気になる。
できれば尾行をした方が解決に近いのではないのかと思う。
だが。
オルガの発言も意味深であった。
この世界は読んだことがある。
「あいつらが何者か知ってるのか?」
尋ねる。
オルガはそれにはっきりと頷いた。
それが本当ならばわざわざ後をつける必要もないだろう。
俺はオルガの提案に乗ることにした。

それからしばらくして、俺たちはホテルの1室に身を落ち着かせた。
なにやら1週間泊まるようだ。
それはともかくとして。
「なにから聞けばいいんだろうな……。こういう時」
「私にとりあえず話させて。質問はそれからで」
「ああ」
オルガはベッドに腰掛ける。
「この世界が元いた世界と似ているっていうのは言ったよね?」
「言ってたな」
「ここのチャオの異変はチャオスと同じで凶暴化とキャプチャ能力の進化。チャオスとの違いは、大まかに3つ。1つはこちらのチャオの凶暴性は先天性ではないこと。つまりキャプチャ能力が進化すればどんなチャオでも凶暴になる。2つ目は進化さえすればチャオスで言うところの『強化』、『成長』、『放出』、『攻撃』の能力を個体差に関係なく全て持つことができること。能力に個性があんまりないってところかな。そして最後に民衆にこの事実が知られていない」
「なるほど。違いはあるものの状況は人間にとって脅威であることは変わらないわけだ」
オルガは頷く。
「こういう類似点があったからこの世界に飛ばされちゃったんだと思う」
「ふむ」
「今度はちゃんと狙い通りに飛ぶように調整するから安心して」
「質問いいか?」
「どうぞ」
「お前はこの世界を読んだことがあると言ったな。その意味は?」
読んだことがある。
この言い方にひっかかる。
ただ単純に知っている、というわけでもないからこそその表現なのだろうが。
「そのまんまの意味。この世界が舞台のお話を読んだことがある」
「は……?」
絶句するもののすぐに立て直す。
「それはあれか。俺たちはお話の世界に来てしまったというわけか?夢だからそれもありだと?」
「その通り。私はこの後どうなるかも知ってる」
ちなみに主人公は白髪の少年と話していた青年だと補足した。
本来なら信じ難い話だ。
しかし信じ難いことなんて何度も起きている。
俺は恐る恐る聞いてみた。
「この後、どうなるんだ?」
「1週間後にその主人公、えっと乱橋って言うんだけど、そいつが凶暴化したチャオの殲滅に成功する。その時、光の柱ができる。これはとてつもなく膨大なエネルギーを持っていて、これに巻き込まれれば世界を飛ぶことができるはず。光の柱がエクリプスキャノンの代わりになるってこと」
俺たちは1週間、いかにして凶暴化したチャオの手から逃れつつその光の柱に巻き込まれるかを検討した。

続く。

このページについて
掲載日
2009年12月18日
ページ番号
45 / 75
この作品について
タイトル
CHAOS PLOT
作者
スマッシュ
初回掲載
2009年11月3日
最終掲載
2010年7月17日
連載期間
約8ヵ月14日