「CHAOS PREVIEW」 part41

00 CHAOS WORLD CHAOS PREVIEW
Scene5

光線はチャオスの群れのすぐ後ろを中心に着弾した。
チャオスの群れが光にのまれていく。
衝撃が拡散し地面が削れ、被害は少しずつ広がっていく。
「大丈夫、なのか?」
「安心しなよ」
大地が消えていく。
文字通り消えていく。
光線によって被害の受けた部分が黒になりどうなったのかを観測できない。
それは俺の目の前まで来て、俺を通り過ぎ、やがて俺の周りがオルガを残して完全な黒になった。
オルガと俺だけしか見ることができない。
オルガより近い位置にあったはずの物も見えない。
単なる闇ではないのだとわかる。
最初この変な世界に来たときに見た空に書かれた文字のように。
これは現実にはないものだと理解する。
「どうなるんだ、これ」
「すぐわかるって」
すぐわかるってどういうことだ。
「……っ!?」
世界が元通りになっていた。
瞬きをした一瞬の隙に。
これはどういうことだ。
別の場所に移動した、ということだろうか。
すぐにわかるとはこういうことなのか。
「ここは、どこなんだ?」
「うーん、どこだろう」
「わからないのか?」
「ちょっと移動をミスったのかな。目的地と違う」
それならわかるわけもないか。
独特な場所ならばともかく、住宅が乱立している場所なんていうのはどこにでもあるものだ。
自己主張をしているような家もなく、この個性のない部分こそがいいところだと主張しそうである。
「というか、さっきまで夜だったのにな……」
場所が変わるついでに時間も変わったのか、昼であった。
場所移動する過程があまりにも突飛なものだったので気がつかなかった。
「そもそも、なんであんな不可思議な移動方法なんだ」
「別の世界に移動するためだけど」
「は?」
別の世界とか言いやがりましたこいつ。
夢だからなんでもありって言ったって限度があるだろう。
「ああやって元いた世界を消しちゃってから移動した方が確実なんだよね」
「わけわからん」
どうせ夢なんだし理屈とかないだろう。
俺たちは現状を把握するために歩き回ってみることにした。
オルガによると、元々行く予定だった世界とは別の世界に来ている可能性もあるという。
確認するためにはここがどういう世界なのか理解しなくてはならないのである。
少し歩いて公園を見つけた。
国立チャオ公園と書いてある。
その名前は俺たちの知っているものではない。
俺とオルガが普段行動している範囲外、ということになる。
あるいは本当に目的としていた場所とは別の世界である、ということだ。
そこでオルガはなにかを見つけて指差す。
「あの子、髪の毛白いよ」
オルガと同い年くらいの白い髪をした少年がいた。

続く。

このページについて
掲載日
2009年12月15日
ページ番号
41 / 75
この作品について
タイトル
CHAOS PLOT
作者
スマッシュ
初回掲載
2009年11月3日
最終掲載
2010年7月17日
連載期間
約8ヵ月14日