「CHAOS PREVIEW」 part40

00 CHAOS WORLD CHAOS PREVIEW
Scene4

走るとやけに疲れた。
息が続かない。
夢なら呼吸の心配なんてしなくてもいいじゃないかと思う。
夢なんだから、なんて思考ができてしまうあたり夢ではないのだが。
「なあ」
走りながら必死に声を出す。
半ば俺を引っ張るように俺の手首を掴んだまま走っているオルガが振り向いた。
「どこまで逃げればいいんだ?」
こうは言ってみたものの、ゲームでもあるまいし一定の場所まで逃げれば大丈夫なんてことはないだろう。
建物などに逃げ込むのがベストだが。
「そろそろやめとく?」
少女は微笑みを見せた。
やけに余裕があるなと感心した。
というか。
「やめとく……とは?」
「逃げるのを。場面変えちゃうのは味気ないから、倒そっか」
「なら……最初から……」
苦しくて中々言葉が口から出てこない。
「んじゃ、ちょっと待ってね」
携帯を取り出す。
幾度かの操作をして、耳に当てた。
どうやら電話をしているようだ。
まだ走らなきゃいけないのか。
少しげんなりとする。
「うん。やっちゃって」
オルガが通話を終えて、少しの後に地響きがした。
後方だ。
音の方向を見ると、何かが上空へと飛び立っていた。
「なんだ……あれ?」
彼女が通話してすぐに飛び立ったのであれば、チャオスを倒すものと関連しているはずだ。
「カオスエメラルドのエネルギーを使って強力なレーザー光線を放てる巨大な大砲がついてる研究施設」
それってスペースコロニー・アークじゃねえか。
息切れしているので勢いよくツッコミはできなかったが。
「なんで、それが、地球に、ある」
あれは宇宙にまだいるはずだ。
「あー。エクリプスキャノンじゃないから。あれ」
「なに?」
別物ということか。
それならそれでなんて物騒な物を研究施設に装備させているんだという話になるが。
「まあ構造的には同じだけど」
「……」
嫌な予感しかしない。
エクリプスキャノンと言えばあれだ。
月を半壊させたらしい。
もう遥か昔の出来事だから本当にそうなのかはわからないが。
「大丈夫大丈夫。カオスエメラルドはまだ1個しかないから」
どこをどう考えてそこから大丈夫になるのだろう。
浮遊物が光った。
本当に大丈夫か?
いやいや、俺たちが大丈夫でも地球が大丈夫じゃないだろう。
カオスエメラルド1つと言ってもその威力は絶大だ。
やっぱやめた方がいいのではないのだろうか。
そう思ったのは光線が俺たちへ向けて発射された後だった。

続く

このページについて
掲載日
2009年12月14日
ページ番号
40 / 75
この作品について
タイトル
CHAOS PLOT
作者
スマッシュ
初回掲載
2009年11月3日
最終掲載
2010年7月17日
連載期間
約8ヵ月14日