第1章 13、孤独
アルティメットは傷を負いながらも、担当している妖怪のWAIRAの観察をしていた。
WAIRAとは、人智を超えた力を持ち、300年ことに別の生命体に生まれ変わる。
その時、記憶を無くし大爆発を起こす。
その爆発力は世界の半分、いやそれ以上が変わるほど強力なもの。
しかし、絶大な爆発を抑える方法がひとつだけある。
それはある一族が生み出した、自らの命と引き換えに放つ結界術である。
その結界を使える一族はもう滅んだといわれている。
が、10年前まだ世界に2匹だけ残っている事が判明した。
その内の1人が・・・・アルティメットである。
M・R上空。
今のWAIRAの形は鯨である。
アルティメット 「ねぇ、わいら・・・・」
わいら 「どうした、アルティメット。
いつもより元気がないぞよ」
アルティメットは飛んでいるWAIRAの横を飛んでいた。
アルティメットは何かを伝えようとしているが、話すのを拒んでいる。
わいら 「・・・・・我の大爆発を食い止める時、お前は死んでしまうからな。
恐いのだろう?」
無言でアルティメットは頷いた。
わいら 「そういえば、200年前、我と同じWAIRAに会った。
しかし、それが同じWAIRAとの最後の別れだったとは考えもしなかっただろう。
・・・つまり我だけがこの世界に残ってしまったという事だぞよ」
アルティメット 「寂しくないの?」
わいら 「我はお主がいるから寂しいと思った事はない。
むしろ嬉しい」
この言葉にアルティメットは少し喜んだ。
アルティメットは飛ぶのを辞めて、WAIRAの上に座った。
わいら 「?
どうしたんだ、アルティメット」
アルティメット 「ちょっと傷がね・・・」
アルティメットは軽傷と言われていたが、ホントは腹を斬られていた。つまり重傷だ。
WAIRAはフッと笑い、崖の上まで飛んでいった。
崖の上につくと、2人は空を見上げた。
そこには無数の星が、自分を見て欲しいと言わんばかりに眩しく、輝いていた。
アルティメット 「綺麗だね・・・。
僕らが始めて出会ったのは、確か此処だったよね」
わいら 「そうだ。ある事を伝えようと思っていたのだが・・・」
アルティメットはポヨを?にした。
わいら 「実は我が鯨に生まれ変わったのは、300年前、同じく主の一族が爆発を抑えた後だ。
その爆発を抑えたCHAOは泳げなかった。
すると我は海を優々と泳いでいる鯨になった。
その前はのCHAOは産まれつき両足が無かった。
我は野原を風のように駆け回る、地上最速のチーターになった。
つまり、我の進化は爆発を抑えた者の、願いが込められているのだ」
アルティメット 「僕が爆発を抑えたら、君は何に進化するのだろうね?」
わいら 「その事は我も知らぬ。
爆発を起こした後は、記憶を無くすし、
お主も居なくなってしまうからな」
アルティメットはうつむいた。
WAIRAは鰭でアルティメットを優しく撫でた。
アルティメットは上を向き、またWAIRAと空を眺め始めた。
しばらくするとWAIRAは動き出した。
アルティメットもそのWAIRAの後を追った。
星空は、2人を見守っているように見えた。
続く