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しかし、願いは通じなかった。
裁判官が冷酷に言い放った。
「チャオは被告人に抱かれることを極度に嫌がっている。被告人が通常ならざる育て方をしたからであることは明白である。それが意味することは、チャオが被告人の心とは反対の姿に進化したということである」
そんなことは言われなくても分かってるよ・・・。
「この状況で、ヒーローチャオに進化したということは、被告人の心に邪なものがあったことの証明となる。そして、それは被告人を有罪とするに十分な証拠となる」
それも言われるまでもないさ・・・。
あれだけのことをしたんだ、一生ムショ暮らしになっても当然だ・・・。
だが、最後にこれだけは言わしてくれ。
俺は、まだ話を続けようとする裁判官を制してヒーローチャオの前に来た。
そして、ヒーローチャオの目線に合わせてしゃがみこみ、一言だけ言った。
「信じてもらえないだろうが、俺はおまえを愛してるんだよ」
シャバの最後に、おまえと暮らせて幸せだったぜ。
おまえのおかげで、忘れていたものを思い出せたような気がする。
いつになるか分からないが、戻って来れた時は、またチャオを育ててみようと思ってる。
どうせダークチャオになるだろう。
だが、それが俺がチャオを愛した証なら、誰に恥じることもないさ。
最後に振り返った時に見たヒーローチャオの目に、怯えの色がなかったことが唯一の救いだった。
たとえ、それが俺が離れて行くからだったとしても。
俺はおまえの幸せを祈ってるよ。
元気でな、バイバイ。
完