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しかし、願いは通じなかった。

裁判官が冷酷に言い放った。

「チャオは被告人に抱かれることを極度に嫌がっている。被告人が通常ならざる育て方をしたからであることは明白である。それが意味することは、チャオが被告人の心とは反対の姿に進化したということである」

そんなことは言われなくても分かってるよ・・・。

「この状況で、ヒーローチャオに進化したということは、被告人の心に邪なものがあったことの証明となる。そして、それは被告人を有罪とするに十分な証拠となる」

それも言われるまでもないさ・・・。
あれだけのことをしたんだ、一生ムショ暮らしになっても当然だ・・・。

だが、最後にこれだけは言わしてくれ。

俺は、まだ話を続けようとする裁判官を制してヒーローチャオの前に来た。
そして、ヒーローチャオの目線に合わせてしゃがみこみ、一言だけ言った。

「信じてもらえないだろうが、俺はおまえを愛してるんだよ」

シャバの最後に、おまえと暮らせて幸せだったぜ。
おまえのおかげで、忘れていたものを思い出せたような気がする。

いつになるか分からないが、戻って来れた時は、またチャオを育ててみようと思ってる。
どうせダークチャオになるだろう。
だが、それが俺がチャオを愛した証なら、誰に恥じることもないさ。

最後に振り返った時に見たヒーローチャオの目に、怯えの色がなかったことが唯一の救いだった。
たとえ、それが俺が離れて行くからだったとしても。

俺はおまえの幸せを祈ってるよ。
元気でな、バイバイ。



このページについて
掲載号
週刊チャオ第53号
ページ番号
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この作品について
タイトル
チャオ裁判 その2
作者
懐仲時計
初回掲載
週刊チャオ第53号