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愕然とする俺に、『ナッツ』は、いつものように近づき、頬をすりよせてきた。
俺は、力なく『ナッツ』の頭を撫でてやることしかできなかった。
『ナッツ』は、ちょっと不思議そうな顔をしたようだったが、いつもと同じように喜んでいるようだ。
『ナッツ』だ。
ダークチャオに進化しても、俺の『ナッツ』は、『ナッツ』のままなんだ。
まだ呆然としたままの俺に、裁判官の言葉が突き刺さる。
「被告人のチャオが、ダークチャオに進化したということは、被告人に邪な心があったということの証明であり、被告人を有罪とするに十分な証拠となる。
正式な判決は後日となるが、犯罪の重大さからみて、実刑は免れないであろう」
実刑?
待てよ。
ちょっと待ってくれよ!
「そうだよ。俺がやったんだ。罰ならいくらでも受けるよ。でもな、実刑だけは勘弁してくれよ。な?な?刑務所に入ったら、『ナッツ』に会えなくなるだろ?な?頼むよ。お願いだからよ・・・」
「ただし、そのチャオが被告人に懐いていることもまた事実であり、それは被告人が根っからの悪人ではないということの証明となろう。
それは、刑を減じるに十分に値する事実でもある」
裁判官のこの言葉は、何の慰めにもならなかった。
だが、次の一言で、第二の人生に望みは持てた。
「刑期を終えるまで、私が責任を持って預かるので、このチャオのことを心配することはありません」
『ナッツ』待っていてくれよ
すぐに、また一緒に暮らせるようにするからな。
--完--