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「うむ!晴れ渡る青い空、今日も絶好の特訓日和だな皆の衆!」
レッドが叫ぶ。
「チャオガーデンには雨は降らないですから。当然ですよ」
ブルーが言う。
「ッたく!こんな朝早くにたたき起こしやがって!気持ちよく寝てたのに・・・」
グリーンが愚痴る。
「ふぁ・・・。洗顔の時間をいただけますか?」
ピンクが質問する。
「Zzz・・・」
イエローが寝てる。

「うむ!質問要望その他は一切受け付けん!まずは早朝ランニングだ、行くぞ皆の衆!」
レッドはそういいながら、ダッシュでレース会場へ通じる洞窟へ駆けていった。

取り残された四人は

「さて・・・僕は朝ごはんを食べてきます」
「さっ、うるさいのがいなくなったとこでもう一度寝るか」
「わたくしは顔を洗いに・・・」
「Zzz・・・」

勝手に行動していた。

このチームワーク最低最悪の彼ら。彼らこそ、悪人から世界を守るために結成されたスーパーチャオの集団(特殊な能力は全くないが)
自称、チビッコ戦隊チャオレンジャー!人呼んでただの怪しい集団である!

彼らの仕事はもっぱらチャレンジレースの番人。
彼らは、「スーパーヒーローに変身して、悪人を倒し世界の危機を救いたい!」というレッドの願望のもと結成(レッドが無理やり巻き込んだ)されたのだが、
彼らが望む(レッドのみ)いわゆる「正義の味方」的仕事は一度も依頼されたことはない。世界が平和なんだからそりゃしょうがない。
しかしレッドは、来る日を夢見て毎日仲間とともに特訓をしているのだ!

「ふはははは!皆の衆よ、私の脚力についてこれるかな!……ん?」

洞窟内を全速力で走っていたレッドは、もう少しでレース会場に着くというところでようやく自分一人しかいないということに気が付いた。

「やや!皆の衆がいないではないか!むっ、コレは事件の予感だ!緊急出動だ!行くぞ皆の衆!」

その皆の衆が居なくなったんですよ、と突っ込むものは当然周りには誰もおらず、レッドは今来た道を再び全速力で駆けていった。

その頃ほかの団員は。

「毎日毎日同じコースを走ってばかり……リーダーは一体何が楽しいのでしょうか?」
「大体なんで俺達はあんなのをリーダーとして認めているんだ?まぁ、言う事に従ったことはほとんどないけど」
「それは認めているとは言わないのでは?」
「そうだな」
「そんなことはどうでもいいですわ。……はぁ、誰かわたくしのことを引き取ってくれる方はおらっしゃらないのかしら?」
「Zzz・・・」

幼稚園でくつろいでいた。

彼らチャオレンジャーには、飼い主となる人間が居ない。別に嫌われているわけではなく、単純に引き取り手が見つからないのだ。
……ということになっているが、実はそうではない。今までに何回か引き取り手になってくれる人間の申し出があったのだが、それをレッドが勝手に断ってしまったのだ。
理由は

「何、ウチの団員を引き取りたい?ダメだ!彼らにはやってもらわねばならないことが多い!世界の平和には彼らの協力が必要不可欠なのだ!」

だそうだ。
申し出た人間のほうも、無理やりにでも連れて行かなければならない事情があるわけでもないのであっさり引き下がっていった。
そんなやり取りが数回繰り返されていたのを彼らチャオレンジャーは知らない。レッド以外は。

「あーっ!暇でしょうがない!ブルー、オマエなんか暇つぶし考えろ!」
「オセロ」
「却下」
「将棋」
「却下」
「リーダーのところに戻る」
「却下」
「では僕はお手上げです、ピンクさんは?」
「わたくしただいまお勉強中でございますの、話しかけないで下さる?」
「失礼、ではイエローさんは?」
「Zzz・・・」

その時、幼稚園入り口の扉がものすごい勢いで開かれた。扉が吹っ飛ぶんじゃないか、なんてブルーが考えていたらホントに吹っ飛んだ。
吹っ飛んだ扉はそのまま積み木の山に体当たり、子供のチャオが一生懸命作ったのであろうその山は、無残に崩れ落ちた。

「おぉ皆の衆!無事であったか!さぁ皆の衆をさらった悪人はどこだ!?我らで退治してくれようぞ!」
「何のことを言っているのかわかりませんが、ドアの修復はちゃんとしてくださいよ?」
「何、礼ならあとでゆっくり聞いてやる!まずは悪人の場所を教えるのだ!」
「話を聞いてください」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第86号
ページ番号
1 / 7
この作品について
タイトル
チビッコ戦隊チャオレンジャー!~ダイヤモンドコース激闘編~
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第86号