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△月13日

朝――先の出来事からまだ3時間程度しか経っていないが――ソニックがやってきた。
彼は本当にやることが速い。それに確実だ。
だから頼れるのであるが…彼に「疲れる」ということはないのだろうか。私?無論疲れている。なんたって全く寝ていないのだから…いや、ここで愚痴を言っても仕方ないが。

というわけで、彼の手にはしっかりと、エッグマン印の瓶が握られていた。
少し焦げているのが気になるが――彼とエッグマンは常に敵対しているからな。またやり合ったのかもしれない――とにかく、これをチャオに与えれば解決だろう。

そうだ。原因はこれまた、エッグマンである。
どういう経緯でそうなったのかは知らないが、何らかのウィルスをダークガーデンに持ち込み、それが漏れてチャオに感染したと、そんなところだ。
あれのことだから、ウィルスを作るからにはワクチンなども用意しているだろうとソニックにエッグマンの元へ向かって貰ったのだが、正解だったようである。さっきの瓶はこれだ。

あの後エッグマンを問い詰めた。少し髪が焦げていたが、そんなことは気にしていられない。
どうも、このウィルスをヒーローガーデンに忍ばせておき、ソニックに一泡――実際そんなものではすまないだろうが――吹かせるつもりだったらしいが、つい寄ったダークガーデンでどこかに落としたということだった。
あれだけガーデンにおかしなものを持ち込むなと言っていたのに、何が「これはハリネズミにしか効果がないはずだ」、だ…。そもそもガーデン内でのいざこざも禁止にしていたはずだ。

園長に進言し、エッグマンをしばらくの間全てのガーデンへの立ち入りを禁止処分とした。

△月13日――昼過ぎ

あれから、6人の体調は見る見るうちに快復へと向かっていった。
確かに、このウィルスのチャオへの影響力は薄いようだ。
免疫力の弱いコドモのみに症状が出たというのも頷ける。

先ほど、6人目のチャオをガーデンに返し、いまこの日誌を書いている。
こんなに疲れたのは本当に久しぶりだ。
1ヶ月ほど前に、産まれたチャオの頭から卵が外れなくなったあの頃も、やたら泣き叫ぶチャオをあやしつつの作業で苦労したが――やはり年寄りには徹夜のほうが応えるな。
そういえばあの時チャオに卵を被せたのもエッグマンだったか……あれは私を過労で倒れさせるつもりなのか?

閑話休題。

いい加減休みたいので、ガーデンの方をソニック達に見てもらい(そういえばソニックも寝てないのではないか)、今日はもう休むことにした。
表に診療終了の札も立てかけたことだし、ベッドに――



そこから先は、まだ何も書かれていないためか白紙だ。
ここで寝てしまったのだろう。

再びこの年寄りのチャオに目を向けてみる。
やはり、もう少し見ていればよだれが出てくるんじゃないかというようなだらけきった顔で――疲れはもう、残っていないように見える――爆睡している。
にやにやした口が、何事か囁いた。
――よかった…。まぁ、私がついているのだから当然だが…。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第3号
ページ番号
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この作品について
タイトル
チャオノ日常、保健室。
作者
ひろりん
初回掲載
週刊チャオ第3号