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チャオガーデンの一角にある、「保健室」。
中を覗いてみると、そこには1人の、年老いたチャオがいる。
彼はこの保健室を1人で切り盛りしているチャオであり、これまで多くのチャオの、さまざまな病気を治してきたベテランである。
が、いまはそんなことなど全く感じられないような、だらけた顔で机に突っ伏して、爆睡している。
まだ日が暮れ始め、夕方が始まったばかりだというのに、表のドアには「今日の診療はおしまい」の札まで出している。こんな時間から熟睡してしまうとは、よほど疲れているのだろうか。

彼が疲れ半分、気持ちよさそうな顔をして寝ているその横に、でかでかと「日誌」と書かれたやや分厚い帳簿がある。
どうも、書きかけのまま寝てしまったようだ。
少し、読んでみよう。


△月3日

最近オトナになったというダークチャオが、鼻水を垂らしながらやってきた。
風邪のようだ。薬を飲めば治る程度のものなのだが、嫌がってなかなか飲まないので苦労した。
オトナにもなって駄々をこねるなと、無理矢理飲ませてやった。
2-3日おとなしくしているよう言ったが、恐らく聞かないだろう。
次来たら注射にするか。

△月4日

コドモのチャオが2人やってきた。
喧嘩をしたということで、ちょっとした打撲などがあったが、大したこともないので軽く説教をしてやった。
途中から意味の無い雑談になってしまったが、たまにはこういうのもいいだろう。
若いというのはいいことだ。

△月5日

今日は特に何も無かった。
暇なのでガーデンに散歩に出てみたら、スタジアムの前でレースに誘われてしまった。
もちろん丁重にお断りしたが。年寄りに運動は辛い。

△月7日

昨日は大変だった。チャオレース中に、崖から海へ落ちたチャオが運ばれてきたのだ。
幸い当たり所がよかったおかげで大事にはならなかったが…ヒコウの能力が必要になる場所でレースをするなら、鳥を抱かせて能力とパーツをキャプチャさせるのは常識ではないか。
これだからエッグマンは。
件のチャオは数日入院することになった。

△月8日

いつかのダークチャオがやってきた。風邪は完治したらしい。注射はお預けだ。
昨日入院したチャオを見舞いに来たようだが、「どうすれば早く走れるのか」等といったことを散々聞いていたので注射を見せ付けて帰してやった。

△月10日

入院していたチャオも無事退院し、しばらく静かな日々が続いていた。
今日久しぶりにやって来たコドモのチャオは、少し様子がおかしかった。
熱や咳などの症状は、風邪に似ているのだが、私の長年の勘が何か違和感を感じさせたのだ。
この子はしばらく入院させることにした。

△月11日

今日もコドモのチャオがやってきた。3人もだ。症状は昨日の子と同じ。
やはり何かある。この子達も皆入院させ、本格的に調査に入った。
ソニック達にも協力を仰ぐことにする。

△月12日

今日も2人のコドモがやってきた。
これで6人、ベッドもいっぱいいっぱいだ。
しかし、昨日1日徹夜して調べても、この病気の正体は掴めなかった。最初にやって来たチャオの症状も悪化してきている。解決を急がねば。

△月12日――深夜

どこか見落としたところがないかと本を再び読み漁っていた時、ソニックがやってきた。
彼が言うには、これまでやってきた6人チャオはみな、ダークガーデンで生活しているらしい。
しかしダークガーデンにいる、オトナのチャオには全く症状が出ていないというのが気になる。
コドモにのみ害を及ぼす何かが絡んでいる…?
しかしそんなものは――いや、まさか…。
私はソニックに、あることを確かめてもらうよう頼んだ。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第3号
ページ番号
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この作品について
タイトル
チャオノ日常、保健室。
作者
ひろりん
初回掲載
週刊チャオ第3号