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そんなみんなの思いもこめて、ヒーローチャオは歌いつづけます。
ご主人さまとの思い出を。
楽しかったひとときを。
忘れられない大切な日々を。
心を込めて歌います。
そんなすてきな歌声に誘われて、小鳥たちも集まってきました。
ほんとうは、いっしょに歌いたいんだけれども、ジャマをしてはいけないし、なにより、じっくりとヒーローチャオの歌を聞いていたいので、いまだけは歌わないことにしました。
そして、歌はクライマックスを迎えます。
ちょっぴり悲しい、ご主人さまとのお別れの場面です。
誰が悪いわけでもなく、どうしようもなかったことなんですが、やっぱり、別れは切ないものです。
みんなも、それぞれのご主人さまとお別れしたときのことを思い出しています。
思わず、涙を流してしまったチャオもいます。
みんなは、ヒーローチャオの歌に聞きほれて、でも、ちょっぴり切ない気持ちになってしまって、すこし不思議な雰囲気になりました。
歌い終わったヒーローチャオは、その雰囲気に気づいてあわててしまいました。
ごめんなさい。
そんなつもりじゃなかったの。
大切な思い出を歌っただけなの。
みんなを悲しませるつもりじゃなかったの。
ご主人さまも好きだけど。
今は、この森が大好き。
この森のみんなが大好き。
だから、みんな悲しまないで。
ヒーローチャオは、必死です。
自分のせいで、みんなが悲しい思いをしてしまったと思っているのです。
ほんとうは、ヒーローチャオの歌のおかげで、大切なことを思い出すことができて、みんなうれしいと思っているんですけれど。
そうだ。
ね、みんなで歌いましょう。
こんどは、楽しい歌を。
この森の歌を。
この森のみんなの歌を。
楽しい歌を。
みんなで歌いましょう。
まっさきに、ヒーローチャオが歌いはじめました。
この森に感謝の気持ちをこめて。
そして、みんなも歌います。
この森のみんなに出会えたことに感謝して。
楽しくて、とっても嬉しそうな歌声です。
楽器を持ってるチャオは、ここぞとばかりに打ち鳴らし、ナカヨシさんにん組は、岩のステージの上で楽しくダンスしています。
小鳥たちも、こんどはだいじょうぶとばかりに、いっしょに歌っています。
ちょっぴりオンチなダークチャオも、さっき以上に声を張り上げています。
でも、いまは誰もブーイングなんてしません。
チャオたちは、楽しそうに歌いつづけています。
それはそれは、すてきなひとときでした。
楽しい歌声が、いつまでもチャオの森に響きわたっています。
おわり