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夜があけました。

チャオたちは、きのう見たふしぎな夢の話をしていました。
やっぱり、みんな同じ夢を見ていたみたいです。

あの女の人にだっこされて気持ちよかったとか、ずっとなでなでされていたかったとか、楽しそうに話しています。
でも、女の人が舞い上がった時はびっくりしたね、そうだ、あの桜の木に消えたんだと言って、チャオたちは古い桜の木を見ました。

そこには、きのうとはちがう風景がありました。
きのうまでは、つぼみもなかった古い桜の木が、チャオの森にあるどの桜の木よりも、りっぱですてきな花を咲かせていたのです。

チャオたちは、とてもびっくりして、それ以上にうれしくなりました。
みんな、すてきな桜の花に見とれてしまいました。
思わず抱きあったり、おどりだしたりするチャオたちもいます。

ヒーローチャオは、きのうと同じように、古い桜の木によりそいました。
でも、木から感じる鼓動は、きのうとはちがう生命力にあふれた力強いものでした。

ヒーローチャオは、うれしくなって桜の木にずっとよりそっていました。
すると、桜の木から声が聞こえてきました。

ありがとう。
あなたたちのおかげで、また花を咲かせる元気がでてきました。
本当にありがとう。

それは、夢で見た女の人と同じ声でした。

ヒーローチャオは、木によりそったまま桜の花を見上げました。
そこに、あの女の人のすてきな笑顔が見えたような気がしました。


あたたかい春がやってきました。
チャオの森のどの桜も満開になっています。



おわり

このページについて
掲載号
週刊チャオ第59号
ページ番号
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この作品について
タイトル
チャオの森のお花見
作者
懐仲時計
初回掲載
週刊チャオ第59号