ページ1

チャオは遠くの森で幸せに暮らします。
もう会うことはできません。


こんな風に、チャオと「さようなら」した人はいませんか?
チャオは人といっしょに暮らすために生まれたような生き物なのですが、ときどき、人といっしょにいることが好きじゃなかったり、人のつくった自然じゃない本当の自然の中で暮らしたいと思うチャオがいたりするのです。

そして、どうしようない事情で、仕方なくご主人さまとお別れしなければいけなかったチャオもいました。

そんなチャオたちが、しあわせに暮らしている森があります。
人里はなれた山の中、たくさんのみどりときれいな水にまもられた、とってもすてきな森です。


そんなチャオの森で、きょうもチャオたちが楽しそうに遊んでいました。

みんなでオニごっこをしたり、地面に落書きをしているチャオがいます。
おいしそうに木の実を食べているチャオや、しあわせそうに眠っているチャオもいます。

ナイツチャオは、気持ちよさそうにお空を飛んでいます。
ミズチャオは、のんびりと小川で泳いでいます。
オニチャオは、きょうもみんなのために木の実を落としています。

ソニックチャオとシャドウチャオが、すごいいきおいで森の中をかけぬけていきます。
どうやら、ふたりでかけっこしているみたいですね。
きょうは、どちらが勝つのかしら?

森の広場では、みんなの音楽会がはじまっていました。
ヒーローチャオのすてきな歌声に、みんな聞き入っています。
思わず、ご主人さまのことを思い出して涙をながしているチャオもいます。
でも、みんなとってもしあわせそうな顔をしていますね。


そんなチャオの森に、ひとりのチャオがやってきました。

しろい色をしたチャオです。
ヒーローチャオかしら?
いえ、よく見るとヒーローチャオとは、すこしちがったしろい色をしています。
手の先がすきとおっていて、からだのまわりでは、ながれ星のようなきれいな光がひかっています。

このチャオは、ライトカオスチャオです。
まぼろしのチャオともよばれ、めったに見かけることのないチャオです。
ご主人さまと、深い愛情でむすばれたチャオだけが、ライトカオスチャオになると言われています。
そんなライトカオスチャオが、どうしてご主人さまとお別れしたチャオたちの集まるチャオの森にやってきたのでしょう?

ライトカオスチャオは、ゆっくりと森の中を歩いていきました。
なんにんかのチャオが気づいて声をかけようとしたのですが、なんとなくライトカオスチャオに声をかけることができませんでした。
まぼろしのチャオなので話しかけにくいということもありましたが、それよりもライトカオスチャオがとってもかなしそうな顔をしているので、話しかけることができなかったのです。

でも、こどものチャオが勇気をだしてライトカオスチャオに声をかけました。

はじめまして
いっしょにあそびましょ
おにいちゃんのおはなしきかせて

でも、ライトカオスチャオは、かなしそうな顔のまま首を横にふると、そのまま歩きつづけていきました。


しばらく森の中を歩いていたライトカオスチャオは、森の広場にやってきました。
そして、広場のはずれにすわって空を見あげました。
ここは、森の中でお空がいちばん広くきれいに見える場所でした。

ライトカオスチャオは、ここならきっと見つかると思いました。
夜になったら、ここからきれいなお星さまがたくさん見えることでしょう。
そのお星さまの中に、きっとライトカオスチャオのさがしているお星さまがあるはずでした。




つづく

このページについて
掲載号
週刊チャオ第100号
ページ番号
1 / 3
この作品について
タイトル
チャオの森のライトカオス
作者
懐仲時計
初回掲載
週刊チャオ第100号