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広場には、ひなまつりの演奏会にさそわれて、たくさんのチャオたちがあつまってきていました。
そこへ、おひなさまを持ったソニックチャオと、シャドウチャオがやってきました。

広場にいたチャオたちは、ソニックチャオの手にあるおひなさまを見つけて、ちょっとびっくりしています。
みんなは、チャオの森でおひなさまを見ることができるとは思っていませんでした。

演奏会もすてきでしたけど、やっぱりひなまつりにはおひなさまがないと盛り上がりませんよね。
きれいなおひなさまを見て、チャオたちはとてもよろこんでいます。

おんなのご主人さまと暮らしていたチャオたちは、ご主人さまといっしょにお祝いしたひなまつりを思い出していました。
おとこのご主人さまと暮らしていたチャオたちは、こんなに近くでおひなさまを見たことがなかったので、ちょっとコーフンしているみたいです。

シャドウチャオは、ひとりでご主人さまを思い出していたかったのですけど、おひなさまを見てよろこんでいるみんなを見ていると、そうすることができなくなってしまいました。

ちょっとこまっているシャドウチャオのそばに、ヒーローチャオがやってきました。

ねぇ、あなたも、みんなといっしょにひなまつりのお祝いをしましょうよ

そう言うと、シャドウチャオの手を取って、みんなのなかへはいっていきました。

ちょこんとすわって、おひなさまを見ているコがいたり、ふたりでいっしょにおどっているコたちがいました。
チャオの「ごにんばやし」は、おひなさまのまえで、さっきよりはりきって演奏しています。
トビチャオの「さんにんかんじょ」は、おひなさまに見とれて歌うどころじゃなくなってしまっています。

チャオたちは、みんなでお祝いするひなまつりを、心からたのしんでいました。

シャドウチャオは、そんなみんなを見て、ちょっとうれしくなってきました。

ご主人さまとの思い出もたいせつでした。
でも、みんながよろこんでくれることのほうが、もっとたいせつでした。

さっきは、ひとりぼっちだと思っていましたけど、こんなにたくさんのともだちがいたのです。
それは、とてもシアワセなことだと、シャドウチャオは思いました。

ヒーローチャオが、いっしょに歌いましょうと、シャドウチャオに声をかけました。

シャドウチャオは、すなおにうなずくと、ヒーローチャオといっしょに歌いはじめました。
森の片すみでひとりで歌っていたときとは、ぜんぜんちがう大きな声でした。
みんなといっしょにお祝いするひなまつりが、とってもたのしかったから、しぜんと大きな声になったのでした。

ならんで歌っているシャドウチャオとヒーローチャオは、なんだか「おだいりさま」と「おひなさま」に見えてきました。
みんなは、すてきな「おだいりさま」と「おひなさま」に見とれてしまっています。

シャドウチャオは、こんなにたのしんで、なんだかご主人さまにわるいと思ってしまいました。
でも、きょうはみんなとひなまつりをたのしもうと、シャドウチャオは思いました。

ご主人さまのことは、いつでも思い出せます。
すてきな思い出はたくさんありました。
いまのシアワセなひとときも、ご主人さまのくれたおひなさまがつくってくれました。

シャドウチャオは、ご主人さまに感謝しながら、みんなといっしょにひなまつりをたのしんだのです。


チャオの森に、うれしい春がやってきました。

このページについて
掲載号
週刊チャオ第52号
ページ番号
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この作品について
タイトル
チャオの森のひなまつり
作者
懐仲時計
初回掲載
週刊チャオ第52号