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人里離れた山の中に、チャオたちの暮らす森があります。
山の上のほうは、雪におおわれて、すっかり白くなってしまっています。
でも、森の中は、やさしい木々とちから強いお日さまに守られて、冬とは思えないくらいのあたたかさです。
今年も、すてきな初日の出が見られました。
早起きのできたチャオたちは、うつくしいお日さまに感動していました。
なかには、徹夜してしまったチャオもいたみたいで、お日さまと同じくらい真っ赤な目で初日の出を見ていました。
そして、あたらしい年のさいしょのお日さまが西の空に沈んだあと、チャオたちは眠りにつきました。
スヤスヤと気持ちよさそうに寝ているコ。
なんだかねぞうの悪いコもいます。
大きなイビキをしているコもいます。
チャオたちひとりひとり、ちがう寝方をしています。
きっと、見る夢もみんなちがうのでしょうね。
チャオたちは、どんな初夢を見ているのかしら?
それでは、チャオたちの夢の世界をのぞいてみましょう。
大きな木の実にかこまれて大喜びしている夢を見ているチャオがいます。
とっても、うれしそうな顔をしています。
寝ているのに、ポヨがハートになっていますよ。
チャオのおやこは、さんにんで同じ夢を見ていました。
おとうさんとおかあさんは、いつまでも恋人のようになかよく寄りそっています。
そのまわりでは、たくさんのこどもたちが元気に遊んでいます。
たくさんのきょうだいを引きつれているこどものチャオは、なんだか頼もしく見えます。
いつまでも恋人のようなふたりでいようね。
たくさんのきょうだいが欲しいなぁ。
そんな思いが、こんな楽しい夢を見せてくれているのでしょうね。
みんなのヒーロー、ハリネズミのソニックと競走している夢を見ているのはソニックチャオです。
ソニックチャオは、かけっこでは、だれにも負けたくないと思っています。
もちろん、ソニックにも負けたくありません。
でも、ソニックはかんたんに勝てる相手ではありません。
それでも、ソニックチャオは、がんばって走っています。
森の木の間を走りぬけ、坂道をかけ上がっていきます。
大きくジャンプしたり、一回転ループの道までありました。
ここまでソニックチャオは、ソニックに遅れずについてこれました。
でも、さいごの直線で、ソニックがスピードをあげたときに、ちょっとはなされてしまいました。
夢のなかでも、やっぱりソニックには勝てないのかしら?
そう思ったとき、ソニックチャオもラストスパートしました。
それは、ソニック以上のスピードでした。
ゴールしたとき、ソニックチャオは、ソニックに大きな差をつけていました。
夢のなかで、大きなガッツポーズをしたソニックチャオは、現実でも大きく手を上げました。
もちろん、まだ寝たままだったんですけどね。
ナイツチャオは、夜の町の上を飛んでいました。
いつもは飛ぶことのできないくらい高いところを、のんびりと飛んでいます。
お月さまにむかって飛んでいるとき、ナイツチャオは、ビルの上に立っている人影を見つけました。
その人影には、ナイツチャオと同じような2ほんの大きなツノがありました。
夢の世界の住人『ナイツ』です。
ナイツチャオは、ナイツといっしょにお空の散歩を楽しみました。
ナイツは、空中で一回転したり、くるくる回りながら飛んでみたり、いくつものすてきな曲芸飛行を見せてくれました。
ナイツチャオも、マネしてみましたけど、なかなかうまくできませんでした。
でも、ナイツチャオは、ナイツと同じように飛べるようになるまで、なんかいも練習しました。
そして、なんとかナイツのように飛ぶことができました。
ナイツみたいに、すてきにはできませんでしたけど、ナイツチャオはマネができてうれしくなりました。
ナイツも、拍手をしてくれています。
『オマエ、チャオのくせになかなかやるな。よし、今日は特別に同化してやろう』
そう言うと、ナイツはナイツチャオに近づいて「同化」をはじめました。
ナイツチャオは、まぶしい光につつまれながら、ナイツとひとつになったのです。
あれ?
よく見ると、かんぜんには「同化」できていません。
ナイツチャオのあたまのポヨだけが残ってしまっています。
それでも、ナイツチャオは、ナイツのからだを借りて自由に飛ぶことができるようになりました。
ナイツみたいに、すてきな曲芸飛行をしたときは、なんともいえない気持ちよさを感じました。
お星さまのすぐ下を飛んだときは、お星さまとお話ができるような気がしました。
急降下して、地面すれすれを飛んだときは、小さな妖精に出会いました。
ナイツといっしょになることで、ナイツチャオはいつもはできないようなことを楽しむことができたのです。
こんなふうに、ナイツチャオは、夢のなかでのすてきなひとときをナイツとすごしました。
つづく