ページ3

さんにんは、さらにシンチョウに進んでいきました。
どうやら、もうすぐ音がしているところにつきそうです。
もしかしたら、そこにオソロシイかいぶつがいるかもしれません。
そんなかいぶつに先に気づかれたら、大変なことになってしまいます。
ですから、みんなは声を出さないようにして、ゆっくりと歩いていきました。

音がしているところに、だいぶ近づいてきたようで、音がかなりハッキリと聞こえるようになりました。
なんだか、歌のようにも聞こえます。
でも、歌にしては、いくらなんでもオソロシすぎる気がします。

その時、いちばんうしろを歩いていたシャドウチャオは、水たまりに足をふみ入れてしまいました。
とつぜんの水の冷たさに、びっくりしてしまいましたけど、なんとか声を出さずにすみました。
ほっとして、すこし気がゆるんだところに、こんどはどうくつのうえから冷たい水滴がシャドウチャオの背中に落ちてきました。
これには、さすがのシャドウチャオもおどろいて、思わず大きな声を出してしまいました。

シャドウチャオのさけび声に、ライトカオスチャオとソニックチャオはシャドウチャオ以上にビックリしました。
あわててソニックチャオがシャドウチャオの口をふさぎました。

今のシャドウチャオの声で、かいぶつに気づかれてしまったのでしょうか?
いえ、どうやら、だいじょうぶなようです。
オソロシイ音は、さっきまでとかわらない調子のまま、響きつづけています。
かわらないというよりは、さっきよりも、なんだかもり上がってきたような感じもします。

いよいよ、音がしているところについたようです。
そこは、ちょっと広くなっていて、どこかに穴が開いているようで、すこし明るくなっていました。
さんにんは、どきどきしながら、そのばしょをのぞきこみました。

その広場の真ん中あたりに、どうくつの天井から光が差しこんでいました。
そのスポットライトのような光をあびながら、オソロシイ音のヌシが立っていました。
それは、ひとりのダークチャオでした。

どうやら、歌のように聞こえたオソロシイ音は、本当に歌だったようです。
このダークチャオは、歌うことが大好きなのですけど、あまり歌がじょうずではありま……、いえいえ、ちょっとほかのチャオたちより個性的に歌っているだけです。
まぁ、とにかく、そういうわけで、ダークチャオは、そのことを気にして、ほかのチャオが来ないところで歌の練習をしていたのでした。

オソロシイ思いをしながらどうくつを探検してきた、さんにんのチャオたちは、隠れるのも忘れてボーゼンと立ちつくしてしまいました。
そのさんにんに、ダークチャオが気づいて声をかけました。

 もういっきょくきいてくかい?

さんにんのチャオがどう答えたかは、言わなくてもわかりますよね。

チャオの森の片すみに小さな滝があります。
その滝のすぐそばにある小さなどうくつからは、今でもときどきオソロシイ音が響いてきます。
でも、もうだれもその音をこわがることはありませんでした。


おわり

このページについて
掲載号
週刊チャオ第268号兼GW&ライカ記念特別号
ページ番号
3 / 3
この作品について
タイトル
チャオの森のどうくつ探検
作者
懐仲時計
初回掲載
週刊チャオ第268号兼GW&ライカ記念特別号