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人里はなれた山の中に、チャオたちの暮らす森があります。
ほんのすこしまえまでは、まだ寒いくらいでしたけど、気がついたらお日さまの光がつよくなっていて、お昼すぎには暑く感じるくらいになっています。
だんだんとつよくなるお日さまの光に照らされて、森の木々の葉っぱは、だんだんと、こいみどり色にかわっていっています。
そんなお日さまと森の木々に見守られながら、チャオたちは今日も元気に楽しんでいました。

小さな岩のステージでは、いつものようにヒーローチャオがすてきな歌を歌っています。
まわりで聞いてるみんなは、とっても気持ちよさそうにしています。
なかには、気持ちがよすぎてねむっているコもいますよ。

空を見あげると、ナイツチャオが、なんだかとってもうれしそうに飛んでいます。
両手をひろげてスピードを出してみたり、空中で一回転してみたり、キリモミ飛行をしたりしています。
空を飛ぶことが大好きなナイツチャオですから、うれしそうに飛ぶ気持ちはよくわかるのですけど、今日のよろこびかたは、ちょっとかわってますね。
いったいどうしたのかしら?
きっと、空を飛ぶのにいちばん気持ちのいい季節になったからでしょうね。

小川のそばでは、こどものチャオが、おっかなびっくり川の水をさわっています。
そろそろ泳ぎたいのですけど、まだ水がつめたそうなので、ようすを見ているみたいです。
なんかいか水に手をつけたあと、おそるおそる足をつけてみました。
でも、やっぱりつめたかったので、泳ぐのはやめることにしたようです。
そんなこどものチャオのすぐ横から、べつのチャオが小川に飛びこみました。
そうです、泳ぐことが大好きなミズチャオです。
でも、急に飛びこんだりしてだいじょうぶでしょうか?
いえ、きっとだいじょうぶです。
このミズチャオは、真冬でも平気で泳いでいましたから。

その小川にそそぐ小さな流れのひとつの、そのまた先に小さな滝がありました。
チャオさんにん分くらいの高さから、二本の細い糸のような水が流れ落ちてくる本当に小さな滝ですが、そのまわりは少し開けていて、ちょうどいい木陰まであるので、暑くなってくるとよくチャオたちが涼みにくるところでした。
本当なら、もうだいぶ暑くなってきましたので、そろそろなんにんかのチャオがここに集まってきていてもおかしくありません。
けれども、まだだれも来ていないようです。

小さな滝のすぐそばに、小さな小さなどうくつがありました。
チャオふたりがならんで、なんとかいっしょに入れるかどうかという大きさです。
どうくつの中は真っ暗でなにも見えないので、まだだれもおくまで行ったことはありません。
でも、入ってすぐのところでも、ひんやりして気持ちいいので、真夏になるといつもだれかがこのどうくつの入り口でお昼寝していました。

最近、そのどうくつのおくから、なんともオソロシイ音が響いてくるようになっていたのです。
だから、みんなこわくなって、この小さな滝に近づかなくなってしまいました。
でも、これから暑くなったとき、ここに来ることができないと、みんなが困ってしまいます。


つづく

このページについて
掲載号
週刊チャオ第268号兼GW&ライカ記念特別号
ページ番号
1 / 3
この作品について
タイトル
チャオの森のどうくつ探検
作者
懐仲時計
初回掲載
週刊チャオ第268号兼GW&ライカ記念特別号