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人里離れた山の中に、チャオたちの暮らす森があります。
あざやかに色づいた森の木が、季節を感じさせてくれます。
チャオたちは、秋の森を楽しんでいます。
チャオの森では、いつでも何かの木の実がなっています。
でも、やっぱり秋になる木の実が、どの季節よりもいちばん種類が多くて、いちばんおいしいのです。
チャオたちは、森のいろいろなところで、秋の木の実をあつめています。
木がすごくゆれていると思ったら、オニチャオがはりきって木の実を落としていました。
みんなのために、木の実をあつめるのが楽しいようです。
とてもうれしそうに、木をゆらしています。
もちろん、あとで、落とした木の実をたべることも楽しみなんでしょうね。
でも、ゆらすのに夢中になりすぎると、みんなに木の実をぜんぶ持っていかれるかもしれませんよ。
そこから、ちょっとはなれたところでは、トビチャオのなかよし3にん組が、木の上にのって木の実をたべています。
木のうえでたべる木の実は、いつもとはちがうおいしさがあるみたいですね。
3にんは、とてもおいしそうにたべています。
3にんが、木の実をたべている木の下を通りかかったこどものチャオが、ちょっとうらやましそうに見上げています。
それに気づいた3にんは、そのコに木の実を取ってあげました。
こどものチャオは、うれしそうにたべはじめました。
でも、やっぱり、木のうえで木の実をたべてみたいなぁと思っているみたいです。
木の実をたべながら、ときどき木の上の3にんを見ています。
でも、こどものチャオは、まだうまく飛ぶことができません。
木の上で木の実をたべるのは、もうちょっと大きくなるまでおあずけですね。
森のおくのほうでは、ダークチャオが地面に落ちた木の実をあつめています。
なんだか、とても気をつけながらひろっています。
どうしてかしら?
あ、わかりました。
ダークチャオがあつめているのは、栗の実だからです。
イガのとげとげに手を刺さないように注意してひろっています。
ちょっとイガが開いて、中の実が見えている栗を見つけては、シンチョウに栗の実を取り出します。
いくつかあつまると、たべはじめて、たべおわると、またつぎの実をひろいにいきます。
そのうちに、イガの開いた栗がなくなってきました。
でも、ダークチャオは、まだまだ、栗をたべたいと思っていました。
ダークチャオは、しかたがないので、イガの開いてない栗をひろうことにしました。
さっきよりも、気をつけてゆっくりと栗の実を取り出そうとしましたが、なかなかうまくいきません。
ちょっとちからを入れたときに、手にイガのとげとげが刺さってしまいました。
ダークチャオは、森中にひびきわたるような大きなさけび声をあげてしまいました。
やっぱり、トゲの開いていない栗の実を取り出すのは無理だったみたいですね。
でも、ダークチャオは、なんだか腹がたって、つい近くにあった木を蹴ってしまいました。
すると、まだ木についたままになっていたイガ栗が、たくさん落ちてきました。
ダークチャオは、あわてて逃げ出しましたが、イガ栗のひとつがあたまに刺さってしまいました。
たいへん。
痛そうです、だいじょうぶかしら?
でも、イガ栗があたまに刺さったままだと、ポヨがもうひとつできたみたいに見えますね。
そのことに気づいたダークチャオは、このすがたをみんなに見てもらおうと、痛いのをガマンしてともだちのところへ走っていきました。
・・・無理しないでね。
さて、森の外れでは、チャオたちがあつまって、いも掘りをしています。
みんなでおいもの茎を引っぱって、土の中からおいもを引っぱり出すのです。
みんな準備はいい?
いくよ~。
せ~の~!
みんなで協力して、ちからを出しあいます。
土の中では、大きなおいもがたくさんできているようです。
だから、なかなか引っぱり出すことができません。
でも、みんなは、よいしょよいしょと、がんばって引っぱります。
そのうちに、ちょっとずつ地面の中からおいもが出てきました。
もうちょっとだよ。
がんばろ~。
そ~れ~!
かけ声といっしょに、ちからをいれて引っぱったとき、ついにおいもが土の中から飛び出しました。
それはそれは、大きくておいしそうなおいもです。
みんなで分けてもまだ余るくらい、たくさん出てきました。
みんな、泥まみれになってしまいましたけど、とってもうれしそうです。
このあとは、小川でおいもをきれいにあらってたべるみたいですね。
みんなは、うれしそうにおいもをかかえて、小川のほうに走っていきました。
みんな、たべるまえには手をあらわないとダメですよ。
そうだ、きょうは手だけじゃなくて、からだもきれいにしないといけませんよ。
つづく