第1話「始まりは突然に」
「チャオ・グランドスラム」。
それは、チャオワールド中のチャオ達が集まり、
強さを競い合うトーナメントであった。
この物語は、
あるヒーローチャオとテイルスチャオの、
熱き戦いの物語である。
「何だ何だ!どいつもこいつも弱っちい奴ばっかだ…。このガーデンには強い奴はいねえのか!?」
青い体をしたヒーローチャオが、チャオガーデンのど真ん中に立っている。
彼の名はブルー。このガーデンの中で最強のチャオだ。
「こら!弱い者イジメはダメだチャオ!」
ブルーと他のチャオとのほとんど弱い者イジメとしか取れない一方的な戦いを、
ガーデンの入り口から見ていた偽善的なチャオ達が、ガーデンに堂々と乗り込んでくる。
いわゆる野次馬根性だ。
「弱い者イジメはやめろだと?何言ってんだ、お前らは。俺様より強いチャオがいないこのガーデンで、俺様のする事といったら弱い者イジメしかねえんだ。わかったな」
「だからって弱い者イジメはいけないチャオ!どうしてそんな事するチャオか!」
ブルーの言葉に、偽善的なチャオ達は猛反発する。
すると、ブルーの右腕が剣のような形に変化した。
「!!」
偽善的なチャオ達は、頭の玉をエクスクラメーションマークの形に変え驚いた。
「お前ら…そんなに死にてえのか…?」
ブルーは普通のチャオとして暮らしていたが、
ある日突然事故に遭い、体の一部を武器化する能力を身につけたのだ。
「ひ、ひぃっ!」
「こいつ、バケモノだチャオ!」
チャオ達は、ブルーが武器化能力の持ち主だとわかると、
怖気づいて一斉に逃げ出そうとした。
しかし次の瞬間、チャオ達はブルーの右腕に絡め取られた。
ブルーの右腕は、鉄の鎖になっていたのだ。
「クックックック…俺様から逃げられると思うなよ」
「お願いしますチャオ!逃がしてくださいチャオ~!」
必死に命乞いをするチャオ達。
しかし、ブルーは容赦しなかった。
「一人10万リングずつ払えば逃がしてやる。だが、払えなかったら……わかるな?」
ブルーは見た目こそヒーローチャオだが、
実際はリングのためなら何でもする極悪チャオだ。
「は、払えません…チャオ…。でも命だけは!命だけは許してくださいチャオ~!」
無駄だとわかっていても、なお抵抗するチャオ達。
しかし…
「払えねえなら仕方ねえな。お前らまとめて……」
「!」
「…………殺す」
ブルーは右腕を巨大な鎌に変化させ、偽善的なチャオ達に襲いかかった。
チャオ達は逃げようとするが、恐怖で体が動かない。
そのままブルーは右腕を振りかざし、チャオ達を斬りつけた。
「ぎゃああああああああああ…」
静かなチャオガーデンに、チャオ達の悲鳴がこだました。
そのころヒーローガーデンでは、
テイルスチャオのセンベイが、
ある1枚の紙を持ってそこら中をうろついていた。
「う~ん、ブルー君来ないかなぁ…」
どうやら、ブルーを待っているようだ。
池の近くの飛び込み台の辺りを歩いていたその時、
ガーデンの入り口からブルーが現われ、センベイに向かって走ってきた。
「あ、ブルー君…」
「『あ』じゃねえよ、『あ』じゃ。それより、用事って何だ?」
「これなんだけどね…」
すると、センベイは手に持った紙をブルーに渡した。
「えーと、何々…。
『チャオ・グランドスラム開催!
最強のチャオは誰だ!?優勝賞金、なんと50万リング!
参加ご希望の方は、チャオコロシアムへGO!』ねえ…」
「ブルー君、最近強い相手がいないって言ってたから…これ、教えてあげようと思って…。」
と、その瞬間、ブルーはセンベイの手をつかみ、
おでかけマシーンの方向へ走り出した。
「ど、どうしたの!?そんなに急いで!?」
「決まってるだろ?行くんだよ!チャオコロシアムに!」
センベイは、頭の玉の形を変え、驚いたような表情をする。
「で、でも…おでかけマシーンじゃダメだよ…」
「そんな事、やってみなきゃわかんねえだろ!?」
そう言ってさらにスピードを上げるブルー。
そして、二人はおでかけマシーンまでたどり着いた。
「行くぞ、センベイ!俺様がスイッチを踏んだら飛び込むんだ。いいな!」
「う、うん…。」
マシーンについた赤いスイッチをブルーが踏み、
二人は開いたシャッターの中に勢いよく飛び込んだ。
これから、どんな戦いが待ちうけているのだろうか…