キーワード小説「非情な日常、同好会。」

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俺、１５歳。
難関だった高校入試を無事突破、俺も晴れて高校生。新生活をエンジョイしてやる！

・・・はずだったんだが。
俺は今、学校で女子生徒に拉致されて、部室らしき所に監禁されている。


　　　　　　　とりあえずキーワード小説「非情な日常、同好会。」


・・・こらそこ、「女子生徒に拉致だなんて羨ましい」とか言うな。
奴は、「暴走機関車」との異名を取る近所でも有名な迷惑女子高生、３年生の北川佑香。

何でも、「チャオ」とかいうキャラクターにハマるあまり、高校に「チャオ同好会」なるものを作って、部長をやっているという。
部員確保のために、２年で学校一のアイドル女子高生、月島うららを無理矢理入部させ、そいつ目当ての男子生徒で部員数を確保しているというメチャメチャな同好会だ。
（無論、男子生徒は全員幽霊部員である）

【俺】「で、俺をこんなとこに連れてきて、何の用だ？」
【北川】「もちろん！≪１億２０００万総チャオ化時代≫への第１歩、チャオ同好会拡張のために、アンタに入部して貰うわ。」

言っておくが、俺はこの部長と知り合いではない。俺は顔を知っているが、向こうは知らないはずだ。

【俺】「でも、なんで俺？」
【北川】「新入生全員の名前を書いたくじ引き。」

・・・終わったな、俺。

【北川】「さぁ、≪ダークガーデンの檻にぶち込まれたくなけりゃ≫、ここにハンコを押すことね。」

ダークガーデンって何ですか。チャオ用語ってのは推測できるが、俺、チャオ知らないんだってば。

しかし、何で俺、この高校を選んだんだろう。
そりゃ、偏差値はいいけど、この女がいることを考えると、止めときゃ良かった。
≪入社早々辞めたい病≫ならぬ、入学早々辞めたい病だよ。

まぁいずれにせよ、逃げられそうにない。仕方なく俺は入部届に名前を書いてハンコを押した。



それから１ヶ月ちょい経った、ある日。
とりあえず俺は無理矢理ゲームキューブとソフト一式を買わされ、チャオの基本は覚えてしまった。
こうなった以上仕方のない話ではあるが。

よく考えたら、テレビゲームをする同好会なんて世界にここだけしかないんじゃねぇのか？
そもそも学校がよく認めたなぁ。
『≪チャオＢに時限爆弾がセットされました!!≫』とか訳分かんないコト言って、北川部長が脅迫したんだろうな。

【北川】「今日はライカ記念日！盛り上がるわよ～っ！！！」

・・・といっても、部室にいるのは３人。
北川部長と俺、それに月島先輩。
ちなみに月島先輩は気弱な性格で断れずに北川部長の暴走に付き合ってしまい、副部長までやっている。
なお、彼女目当ての男子連中は北川が部室から蹴り飛ばした。入部させといてそりゃねぇだろ。

早速彼女はソニアドをやるべくゲームキューブをセットし、テレビのスイッチを押す。が。
【北川】「あれ？≪テレビがつかない≫わねぇ。」
【月島】「故障、ですか？」
【俺】「・・・いや、コンセント繋がってねぇだけだ。」

しかし妙だ。北川部長の性格からして、ゲームし終わった後にコンセントを抜くはずがない。
【北川】「まさか、侵入者が！？誰の仕業なの！？
　　　　　≪幼稚園の屋根には忍者が≫いるって言うけど、まさか部室の屋根にも！？」
・・・何ですかその訳の分かんない話。

結局、コンセントが抜けた原因は、前日北川部長が電源コードにつまづいて転んだ拍子に抜けたものだったらしい。


そして、ライカ記念日パーティーは、その後北川部長の家に移動して、なおも続く。
【北川】「今日は特別に、あたしが製作中のゲームを公開してあげるわ。」

ゲームを作ってるって、この人一体。
（後で分かった事なんだが、ＰＣ用のゲーム製作ソフトを使いで、多少の知識があれば誰でも作れるものらしい）

そう言って北川部長は、ＰＣでアイコンをダブルクリック。
するとモニターが真っ黒になったと思いきや、テロップが。

『ライカの冒険　～≪俺とお前は一蓮托生≫～』

・・・なんじゃそりゃ。

とりあえず、主人公のライカが敵を倒しながら冒険していくストーリーらしい。

【北川】「出たわね、中ボス幽霊チャオ！」

『≪必殺！幽霊足キック！≫』
『≪ライトカオスに２０のダメージ！≫』

・・・あのー、俺と月島先輩の存在、忘れてません？

しかしそんな事お構いなしに、部長は遊び続ける。

『【敵キャラ】「≪ハァ、ライトカオスだなんていつ知ったんだよ・・・。≫
　　　　　　　　≪マスチャツは伊達ライカ≫に決まってんだろ。」』
『【主人公】「な、なんだって！？」』

【北川】「来た来た、衝撃の真実！」

・・・≪道草しても≫いいですか？

＜後編に続く＞