チャオレンジャーロボX
チャオガーデンのはるかかなた
ダークガーデンの遠くに見える山の、そのまた奥にチャクロンの秘密基地があります。
ここでチャクロンは、打倒チャオレンジャーのハチマキをつけ、必死に研究に励んでいるのです。
そのとき!チャクロンの手下の一人、大教授チャースがチャクロンのもとに駆け込んできました。
「ついに完成しましたぞ!」
「ほんとうか!」
「こちらにその完成品があります」
チャクロンはハチマキをとり、ゆっくりと腰を上げると大教授の完成品を見上げます。
「おおっ、ついに完成したのか!」
チャクロンの視線の先には、巨大な黒い影がありました。
こちらはチャオレースコース。
いつものように、チャオレンジャーたちは控え室のなかでゆったりと会話を楽しんでいます。
ここは本当に平和です。
「いやあ、最近のチャオはとっても強いちゃおねえ」
ブルー隊員がさっき争った敵についての品評を始めます。
「そんなでもないちゃおよ。ボクは結構いいとこまで行ってたちゃお」
レッド隊長は自慢げに言います。
「みんな無限だっこでオール99レベルにしてから参加してくるちゃお。あれじゃあライトカオスくんだって太刀打ちできないちゃおよ」
「でもさっきのは、オール99レベルではなかったと思うちゃお」
「やっぱりレースにチャオレンジャーが出るというのはおかしいちゃお。もっとチームワークが重要な遊びがいいちゃお」
「たとえば?」
「バスケットボールとか」
「それじゃあダメちゃお。あんなに大きなボールは扱えないちゃお」
グリーン隊員が口を挟みます。
「そういや『チャオサッカー』というのがあったちゃおよ」
「ほんとうちゃお!?」
ブルー隊員は目を輝かせます。
「アレはちがうちゃおよ」
イエロー隊員も割り込んできます。
「あれは一人でボールをけるちゃおよ。人がやるのとは違うちゃお」
「そうちゃおか・・・・・」
一気に落ち込むブルー隊員。
「大体こういう戦隊ものは、五人がかりで一人の敵をやっつけるんだから、ずるいちゃお。レースならみんな平等ちゃお!」
レッド隊長がなだめます。でも、あんまり効果はなかったみたい・・・
このように平和な日常。
でも、この状態は、そう長くは続かなかったのです。
それを破ったのは、ひとつのスピーカーでした。
突然バカでかいビーという音が、部屋中に響き渡ります。
天上につけられたパトランプがくるくる回り、室内を真っ赤に照らし出します。
「何事ちゃお!?」
みんないっせいに当惑します。
これは、何かの緊急事態の知らせです。
「チャオレンジャーの出動ちゃお!」
レッド隊長の瞬時の判断で、チャオレンジャーの結束が固められました。
ドアを開け、チャオレースエントランスへ向かって駆け出します。
そこではいつもとちがい、大型モニターが事件の様子を映し出しています。
それを見たチャオレンジャーたちは目が点になります。
モニターに映し出されていたのは、チャクロンの乗った巨大なチャオ型ロボットだったのです!
驚くレンジャーたちに司令官であるキングチャオが命令します。
「チャオレンジャーロボX、発進するのだ!」
チャオレンジャーたちは進みなれた道を通り、チャオレースコースのスタートにまで駆け下ります。
降りて見れば、チャクロンのロボットはすぐそこまで来ています。
つみき岩が壊されました。
チャオレンジャーたちの心に火がつきました。
「チャオの楽しみを奪うヤツは、許せないちゃお!」
いつもならレースの参加者たちが出てくるはずの穴。
そこから五匹の小動物たちが現れました。
いや、小動物ではありません。
それは小動物の形をした、小型ロボットだったのです。
小型とはいってもそれらの大きさはだてになりません。チャオよりはるかに大きいものです。
その五匹にそれぞれチャオレンジャーが乗り込み、合体を始めます。
まず、レッドの乗ったオウムの腹の部分が二つに割れ、なかからロボットの顔にあたる部分が出てきます。
つづいてブルーの乗ったアライグマ。
頭と尻尾が分割され、残った体からは腕が切り離されました。
体と足で、ロボの片足、腕と尻尾でもう片方、頭は腰へと変形し、下半身を作りだします。
イエローの乗ったフェニックスは羽の部分が取り払われ、くちばしをドリル状に変形させ、片腕へとなります。
ピンクの乗ったドラゴンは、その角を利用し、爪のついた左腕へと変形します。
最後にグリーンのクジャクが胴体を形成し、ロボの合体は終了します。
チャオレンジャーがひとつになりました。