最終章第四話 ハイパーALife

最深部にたどり着いたチャニック。
そこは巨大な、異質な空間だった。
その中心部には、小さな神殿があり、それを取り囲む7本の柱。
その7本の柱の上には、七つのカオス系チャオのアレが安置されています。

「これは?チャオ神殿そのまんまちゃお。」
チャニックに遅れて最深部にたどり着いたチャックルズが叫びます。
マスタージュエルの安置されていたエンジェル島のチャオ神殿。
規模は小さいけれど、同じ造りです。
カオス系チャオのアレのチカラを引き出す為、マネて作ったのでしょう。

チャニックとチャックルズは顔を見合わせます。
そしてうなずくと、二人は駆け出します。
しかし、チャラルドの仕掛けた最後の防衛システムが発動します。

「私から全てを奪った愚かしい人間どもよ。私と同じ絶対的な絶望を味わうちゃお。」
チャオ神殿へ続く、チャニック達の目の前の空間から、異様な重圧を感じます。
重力をもった空間は、その一点に周りの大気を取り込んでいきます。
その引き込まれた大気の量が限界を超えた時突然、その重力が開放されます。
「ぎぃやぁああぁはあぁ~!」
二人の前に、巨大なトカゲが出現します。

「こいつはまさか、封印されたはずの究極生命体プロトタイプ?」
驚くチャックルズ。
ふと、後方から声がします。
「ヤツの名は、サウリアちゃお。」

二人が振り向くと、チャドーがいました。チャドーは歩きながら続けます。
「ここは、ボクが引き受けるちゃお。」
「チャドー?」
チャニックとチャックルズは、なぜここにチャドーがいるのかと、戸惑います。
そんな二人にチャドーはどなります。
「ボクがヤツを引き付ける間に、カオス系チャオのアレの元へ、走るちゃお!」

走るチャニックとチャックルズ。
サウリアは、そんな二人に襲い掛かります。
「させるかぁちゃお!チャドースピア!」
チャドーの叫びとともに、頭上の大気が淀む。
淀んだ大気は、七本の槍と化します。
その七本の槍はサウリアを貫き、地面に貼り付けにします。
「さあ早く!ボクのパワーがもつうちにちゃお!」

チャオ神殿にたどり着く二人。
チャックルズは、マスタージュエルを台座にセットします。

「チャオは、チャオにして、チャオにあらず。
 この世の全ての生命と供にあり。
 全ての生命の悲しみ、怒り、嘆き、憎しみ、妬み、慟哭を受け入れろ。
 供に生きる喜びを知る為に!
 マスタージュエルよ、頼むちゃお!カオス系チャオのアレの暴走を止めてくれちゃお~~!!」
マスタージュエルは、激しく輝きだす。
それは、激しさの中にも、暖かいぬくもりを感じさせる光りだった。

「ギィヤアアアアアアアアア!!」
突然、サウリアが叫びだす。
封印されていたサウリアの動力源は、暴走したカオス系チャオのアレ。
そのチカラの源が今、絶たれたのだ。

「ギィヤアアアアアアアアア!!」
サウリアは光りに包まれ、その場から消えます。

「カオスコントロールちゃお!」
チャオ神殿に駆けつけたチャドーが言います。
消えゆくパワーを振り絞ったサウリアの、最後のカオスコントロールです。
その時突然、激しい揺れが三人を襲います。

「カオス系チャオのアレの暴走が止まれば、コロニーの落下も停止するんじゃなかったんちゃおか?」
チャックルズがさけびます。
そこへ、チャッグマンの通信がはいります。
「プロトタイプはまだ、生きておるちゃお。ヤツがコロニーを動かしてるちゃお!
 ヤツはこのまま、地上に突っ込むつもりちゃお!」
「わ~、大変ちゃお~。どするちゃお~!!」
チャックルズは、パニックです。
しかし、チャニックとチャドーはなぜか冷静です。
見つめ合う二人は、とことこと近寄ります。
「ん?こいつら、繁殖期ちゃおか?」
チャックルズはふと疑問に思います。

そんなチャックルズの目の前で二人は、お互いの右腕をからめあいます。そして、叫びます。
「バロームクロース!!」
そんな二人のもとへ、周囲の柱の上に安置されていた七つのカオス系チャオのアレが集まり、そして光ります。
光りの中からなんと、ドラゴンが飛び出します。

「さあ、願いを言え。どんな願いでも、一つだけ叶えてやろう。」
ドラゴンは、自分を呼び出したチャニックとチャドーに言います。
「とはいえ、お前達の願いは分かっておる!」
ドラゴンの瞳が、輝きだす。
チャニックとチャドーは、何かが体の中に入ってきたのを感じ、目をつむります。

『ALife』の名を冠する二人の体内に秘められた全エネルギーが、感情の高まりとともに頂点に達します。

二人は、目を見開きます。
同時に、チャニックの体は黄金色に輝きます。
しかしチャドーの体は、白銀の輝きです。
「チャドーよ、分かっておるな。」
ドラゴンは、チャドーの心に話しかけます。

「チャドー?」
白銀の体を見つめるチャドーに、チャニックは呼びかけます。

「ふん、これはボクが望んだことちゃお。行くちゃお、チャニック!」

ハイパー化した二人のチャオは、宇宙空間へと飛び立ちます。
君達は、最後の希望だ!
がんばれチャニック!負けるなチャドー!!

このページについて
掲載号
週刊チャオ第115号
ページ番号
51 / 59
この作品について
タイトル
チャニックアドベンチャー2
作者
あさぼらけ
初回掲載
週刊チャオ第94号
最終掲載
週刊チャオ第118号
連載期間
約5ヵ月18日