ダークサイド5

とんだ邪魔がはいり、その遂行に障害をきたした、「真昼のツヤブラック」作戦。
元々、真夜中じゃなくて真昼ってところに問題があったんだろう。
監獄島爆破までの時間も、残り20分をきってしまった。その為、ルーチャは脱出時間を考えるとこのセキュリティホールから3個のカオス系チャオのアレを、5分で盗み出さなくてはならなくなった。

「3分あれば、大丈夫ちゃお。」
ルーチャは、チャッグマンに借りたレーダーを頼りに、カオス系チャオのアレを探し始めた。
一つ目の反応に向かうルーチャ。しかし、その途中で足が止まる。
「これは?」
なんと、カオス系チャオのアレが無造作に落ちていた。
ダークカオスのと思しきチャオのアレ。これだけを残し、チャオはどうなったのだろうか?
ルーチャはそんな悲しい気持ちになりながらも、ダークカオスのチャオのアレを手にした。まずは一つ目。
と、突然、すさまじいパワーがルーチャに流れ込む!!
「きゃ~、なんなのちゃお~?」
不死のパワーを持つカオス系チャオのアレ。これを手にするには、器となるチャオ自身にもそれなりのパワーが必要になるのだ。
『こうもりさん、こうもりさん。』
ルーチャの脳裏に、悲しげな少女の呼び声が聞こえてくる。
「く、なんてすさまじいパワーちゃお。でも、アタシには、…。」
『こうもりさん、お願い、助けて。』
その声は、はっきりとルーチャの脳裏に聞こえてくる。ルーチャは、ある少女の悲しみを晴らす為、行動していたのだ。
「アタシは、負けないちゃお!!」
ルーチャは、ダークカオスのチャオのアレのパワーを、なんとか押さえ込んだ。
「ふう、なんてパワーなのちゃお。じゃあ、チャッグマンもチャドーも、これに耐えうるってことちゃお?」
チャッグマンに近づく為に用意されたカオス系チャオのアレには、ある程度のコーティングが施されていたのだ。

なにはさておき、レーダーの反応箇所に向かう。
その場所は、金庫の中だった。
しかも、金庫のまん前では、大きな文鎮がどっこんどっこん上下している。
「やっかいちゃおね。」
文鎮を止めるスイッチ。金庫の鍵を開けるスイッチ。その二つを探さなくてはならなかった。
「ん~、面倒ちゃお。」
ルーチャは、文鎮が上がった瞬間にその下に走りこむ。そして、すばやくスクリューキックを発動!!
「ていりゃ!」
なんと、金庫が開き、その中のヒーローカオスのチャオのアレも同時にゲットしていた。文鎮によるダメージは受けたが。
残りあと一つ。

このホールには、無人の警備ロボットがいた。
ルーチャは、その周りをぐるぐる走る。レーダーの反応は、どうやらこのロボットからで間違い無いらしい。
ルーチャはこの警備ロボットを蹴り壊す。中からは、ライトカオスのチャオのアレがでてきた。
最後のカオス系チャオのアレを手にするルーチャ。なんと、3個ゲットするのに2分もかからなかった。
「どおちゃお?アタシの華麗なテクニック。」
ウ~ウ~ウ~!
突然、サイレンが鳴り響く。出口も閉じられる。ルーチャが振り向くと、小型の浮遊メカが近づいてくる。

「警備中のフライングドッグより指令本部へ。セキュリティホールに侵入者発見。攻撃態勢に入る。」
迫り来るフライングドッグ。ルーチャは、シルバーバトンを取り出した。
シルバーバトンがピュウっと風をきると、フライングドッグは落ちた。
「アタシって結構つおいちゃお?」

フライングドッグは撃退しても、ルーチャがセキュリティホールに閉じ込められたのには、変わりなかった。ルーチャは携帯電話を取り出した。この任務失敗を伝えなければならない。


爆弾を仕掛け終え、引き上げようとするチャドーの携帯電話が鳴った。チャドーは電話にでた。
「ふふふ、お前の大切なかつらを誘拐したちゃお。」ぷち。
チャドーは電話を切った。再び、すぐに携帯電話が鳴る。
「ごめんちゃお。こっちミスっちゃったみたいちゃお。金庫の中に、カオス系チャオのアレごと閉じ込められちゃったちゃお。こんなところでしくじるなんて、アタシもヤキが回ったちゃおね、…。」ぷち。
ルーチャは、自分の失敗を伝えると、電話を切った。

「ふん。」
そんなのは、自分には関係無い事。だけど、チャドーの脳裏に、50年前の記憶がよぎる。
スペースコロニーチャーク脱出時の記憶。
脱出カプセルを作動させる為、チャークに残った麻里愛(マリア)。
自分はあの時、マリアを救う事が出来なかった。
マリアの面影が、なぜかルーチャと重なった。
「ちい、世話のやけるちゃお!」
チャドーは駆け出した。

チャドーの足が止まった。チャドーの視界に、青いカケチャが飛び込んできたから。
「あの時のカケチャちゃおか!こんな時に。」
青いカケチャ・チャニックもチャドーに気付く。
「見つけたちゃお、この偽者ちゃお!」
それを聞いて、チャドーは鼻で笑う。
「偽者?は、フェイクは君の方じゃないちゃおか?いや、フェイクと呼ぶには、レベルが違いすぎるちゃおか?」
「いわせておけば~!」

このページについて
掲載号
週刊チャオ第103号
ページ番号
23 / 59
この作品について
タイトル
チャニックアドベンチャー2
作者
あさぼらけ
初回掲載
週刊チャオ第94号
最終掲載
週刊チャオ第118号
連載期間
約5ヵ月18日