―悲しい話―

「物騒な話―悲しい話―」

車の多い交差点です

僕は信号が赤から青へ変わるのを待っていました

ここの信号は長いです

しばらく暇です


僕の隣におばさんが歩いてきました

おばさんは手綱を引いて歩いてきました

手綱の先には首輪がついていました

首輪につながれているのはチャオでした


首輪につながれたチャオはマスクをしていました

首輪につながれたチャオはヘルメットを被っていました

首輪につながれたチャオは大きなダウンジャケットのようなものをつけていました

首輪につながれたチャオは手錠をかけていました


僕はおばさんに聞きました


なぜ首輪をつけているのですか?

迷子にならないためだそうです


なぜマスクをつけているのですか?

口からウィルスなどが入らないようにするためだそうです


なぜヘルメットを被っているのですか?

上から物が落ちてきたときのためだそうです


なぜダウンジャケットを着せているのですか?

ダウンジャケットではなく防弾チョッキだそうです


なぜ手錠をかけているのですか?

拾い食いをさせないためだそうです


僕はおばさんに聞きました


嫌がってませんか?


嫌がってるわけがないそうです


僕はおばさんに聞きました


わかるんですか?


この子のためにしているのだから、嫌なわけがないでしょう


だそうです


そのとき足元から音がしました

何かと思って見てみると、手綱につながれていたチャオがいませんでした

自力ではずしたのでしょうか

僕はチャオを探しました


居ました

横断歩道を歩いていました

今ちょうど横断歩道の真ん中に差し掛かるところです

信号は赤でした


僕は叫びました

危ない

振り向いたチャオは満面の笑顔で

頭にハートを浮かべていました


信号は赤でした

このページについて
掲載号
週刊チャオ第151号
ページ番号
1 / 2
この作品について
タイトル
物騒な話
作者
宏(hiro改,ヒロアキ)
初回掲載
週刊チャオ第151号