後編 ページ2
朝。
起きてすぐに、ぼくは気付いた。
アオが、アオがまゆにくるまれてたんだ!
ぼくは、これが何なのか知っている。
ぼくももうすぐ8さいなんだ。チャオのことはいっぱい勉強したし、2度目にまゆにつつまれることがどういうことなのか、ぼくは、知っている。
でも、こんなに早かったなんて。
――いやだ!
どうにかならないのか、まゆから出すことはできないのか。
ぼくはお父さんのところに言って、聞いた。
でも、やっぱり返事は、本に書いてあるのと同じだった。
…ぼくは泣いた。この前のとは、ちがくて、とにかくさみしくて、泣いた。
ずっと一緒なのに、友達なのに…
ねえ、お部屋に戻ってみたら?
お母さんが、言った。
僕はまだ泣いていて、お母さんの言うことがわからなくて、目がいたかった。
お父さんに手を引かれて、ぼくは立った。けど、ぼくは行きたくないと思った。だって――
でも、お母さんもお父さんも、僕に行けって、背中を押されて、ぼくは、部屋に
卵が、あった。
なみだが止まって、今度はわからなくなった。なんで? なんで――
振り向くと、お母さんとお父さんが、笑ってた。
アオは、アオはどうなったの? ぼくは聞いた。 やっぱり笑って、お母さんが言った。転生したのよ、って。お父さんが、またコドモになっちゃうけど、またその卵からアオが産まれてくるんだよ、って。
それからまた、何日かたったけど、アオはまだうまれない。転生には、普通にうまれるより時間がかかるんだって。
そして今日は、ぼくの、8さいのたんじょうび。アオと出会って1年がたつんだよね。たぶん、今日、アオは帰ってくると思う。
ぼくは、朝から、アオの卵を見ていた。お母さんがケーキを作ってくれているけど、ぼくはそれより…
卵が、ぴくっ、って動いた。はずかしいけど、ぼくもぴくってしちゃった。――びっくりしたんだよ。
卵にひびが入って、そして、半分に割れて――中から、小さいはねと、ちいさなねこのしっぽがついた、チャオが出てきた。……アオだ!
ぼくはアオをだきかかえると、アオは頭にあの「?」を浮かべたけど、かまわずぼくは、アオをだきつづけた。
ぼくとアオは、ずっと、友達なんだ。