前編

今日はぼくのたんじょうび。
7さいになったよ。
それでね、たんじょうびだからね、お父さんとお母さんがたんじょうびプレゼントをくれたんだ。
それは、大きなたまごだった。

お母さんは、これは「チャオ」のたまごなのよ、って教えてくれた。チャオってなにって聞いたら、うまれたらわかるよってお父さんが言った。
どうやったらうまれるの？と聞いたら、お母さんが笑いながら、じゃあ、早くふとんにはいって寝ましょう。起きたらもううまれているんじゃないかしら、って言ったから、たまごをだっこしながらふとんに入ったんだ。

でも、なかなか眠れなかったように思う。チャオってどんなんだろう、とか考えるとドキドキして目がさえちゃうんだ。
寝て、起きちゃえばそんなのかんけいないけど。

足の方で何かごそごそしてるかんじがして、目がさめたんだ。いつのまにか眠っちゃったみたい。
目をこすりながらたまごの方を見ると、なんとたまごが半分しかなかったんだ！
上の半分がなくなってたの。それを見たぼくはびっくりしてとび起きてまわりを見たら、さっきごそごそしてるなってかんじがしたところに、青くてちっちゃな生き物がいたんだ。

これがチャオ？

ぼくがそーっと近づくと、チャオがこっちを見て、目が合った。
ぼくはどきっとして足をとめちゃったんだけど、チャオは、にこにこしてぼくのほうに歩いてきたんだ。足元まで歩いてきたら、ぴたっと止まって、チャオはぼくの顔を見つめた(チャオはぼくよりぜんぜんちっちゃくって、ずっと上にあるぼくの顔を見上げてた)。
しゃがんで、チャオの頭をなでてみた。


すっごくびっくりした!!


なんでって、チャオの頭の上にうかんでいる、ちっちゃくてまるっこいやつが、急にハートの形になったんだよ！
ぼくはちょっとあとずさりをして、でもしゃがんでいたからバランスをくずしちゃって、しりもちをついた。
そんなぼくを見つめて、チャオは、にこにこ笑っていた。

お母さんが、あら産まれたの。よかったわね、と言い、お父さんが、よしじゃあ、名前をつけてあげなさい、と言った。
名前。チャオの顔を見ながら、ぼくは考えた。どんな名前がいいんだろう？
しばらく考えて、ぼくは、「アオ」という名前を、チャオにつけようと決めた。
青いからアオ。かんたんすぎるかなって思ったけど、お母さんもお父さんもいい名前だって言ってくれたし、チャオも満足そうだから(と言ってもいつもにこにこしているからほんとにそうなのかはわからないけど)、それに決めた。

アオと散歩をした。公園をちょっと歩いただけだけどね。
アオは、すれちがった人や、ふわふわとんでいたちょうちょを、うれしそうに見ていた。うまれたばかりだからめずらしいんだって、お母さんが言っていた。アオがうれしそうにしていると、ぼくもうれしい。ぼくとアオはもうともだちだから。

ここでまた、ぼくはおどろかされたんだ。

ぼくとアオの進む先に、ねこがいたんだ。アオと同じくらいの小さなねこで、たぶんこねこ。
そのこねこを見てアオは、いきなりこねこのところまで走り出して、いきなりそのこねこをだっこしたんだ。
ぼくはそれを見て、アオがこねこを食べちゃうんじゃないかとどきどきした。お母さんに、チャオはきのみしか食べないって聞いていたけど、アオはもしかしたらおにくも食べちゃうチャオなのかも！ってね。
でもそんなことはやっぱりなくて、アオはすぐにこねこをはなしたんだ。こねこはすぐどこかに行っちゃったけど、アオは少しそのままじっとしていて、ぼくがアオに追いついた時、アオの体が「ぴかっ」て光ったんだ。
これにはびっくり。朝からびっくりしてばっかりだけど、びっくりはまだつづく。
光ったあと、アオの頭の上にうかんでいるまるっこいやつが、ちょっと緑色になってて、しかもおしりの方にさっきのこねこのとそっくりなしっぽがはえてたんだ！
ぼくはアオがどうにかしちゃったんじゃないかと思ってアオをだっこして急いで家に帰ってお母さんにこのことを話したんだ。そしたらお母さんは笑って、これはチャオのとくちょうなのよ、って言って、いろいろ教えてくれた。

お母さんが言うには、チャオはどうぶつをだっこすると、だっこしたどうぶつのとくちょうをきゃぷちゃ？するんだって。きゃぷちゃっていうのはね、ぼくもよくわからないんだけど、さっきみたいにこねこをだっこして、こねこのしっぽがつくことみたい。

とにかくそれがへんなことじゃないってわかってよかった。


それから、ぼくはアオと毎日一緒に過ごしたんだ。
お風呂も一緒だし、寝るときも一緒だし、もちろん遊ぶ時も一緒！
もう、頭の上のまるっこいのがちがう形になっても、体がぴかって光ってもおどろかないよ。
もうなれっこだもんね。

―続く―